汗かき、べそかき、自転車漕ぎ、

自転車旅で感じたこと、ぼやきその他いろいろ

歳の数だけ東欧・南欧諸国1万キロ自転車旅第2走:7泊8日のシベリア鉄道生活始まりました。

 

2日目の朝を迎えました。また車でウラジオストク駅まで連れて行ってくれるそうでアレックスさんの用事が終わるお昼過ぎまでこの日はお部屋でお留守番でした。

ザヴォツコイからウラジオストクの街まで60km程なので自分で行けないこともないですが、まだロシアルーブルも持っていないし途中でお腹が空いても物資調達もできません。SIMも手に入れてないので地図も使えません。大人しくお言葉に甘えることにしました。

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外の寒さと枯れた木々がひとり旅の癖っ毛の心情を語っているようで妙に美しく、なにか親近感を覚え部屋の窓から思わず写真を撮りました。昨晩着いた時は夜で周りの景色はわかりませんでした。近くには学校があって敷地内の遊具で遊ぶ子供たち。犬の散歩をする人。仕事へ向かう人。彼らが何をするのか、何を考えているのか、見ていて飽きません。

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しばらくするとアレックスさんのお母さんが朝ご飯できたよ、ということで食卓へ。ロシアの薄いパンケーキブリヌイの中にはサワークリームでしょうか。それにイカの塩辛のようなものに、ゆで卵、温かいティーとのんびりとした幸せな朝でした。

 

朝ご飯を済ませたあとはシャワーを浴びました。もちろんロシア語で書かれているのでどれがシャンプーでボディーソープかわかりません。英語表記も少しはあるかと思ったら全くないので手も足も出ません。なんとなく香り、泡立ちや質感で判断しました。

 

さっぱりしてまたテレビを見たり、お昼まで今後の計画を立てたりしていました。1時くらいになると娘さんが”ディナーできたよ”と言ってきました。英語は得意ではなさそうなのでランチと間違えたのかなと思いました。食卓へ行くとスープにブリヌイ、サーモンのムニエルと沢山ありました。

気になったので調べてみましたがロシアは電気がない頃からの習慣で昼食が正餐のようです。Dinnerは日本ではディナーと和製英語のようになり夕飯と訳されますが本来正餐という意味があります。よく癖っ毛もデートの時など夕飯で検索してもお洒落なお店が出てこなさそうで 渋谷 ディナー なんて調べたりしてました。ロシアではスープは貴重で昼食の正餐にしかでないそうです。食べた後に調べて知りました。もっと噛み締めて頂けばよかったです。スープのためなら結婚できるなんてことも昔は言ったみたいです。

寝たきりでまだ自転車旅も始まっていませんし、なにも消費してないので朝食どころか昨晩の夕食すら消化されていない状態でお腹が苦しかったです。贅沢な悩みです。ありがたくいただきました。お母さん手作りのラズベリージャムも美味しかった。

 

また昨晩の夕食で出た穀物のようなものがこの昼食にもあったのでこれはロシアの主食に違いない。調べてみたらビンゴ、グレーチカと言い蕎麦の実を茹でたものでパンと同様ロシアの主食みたいです。昨晩からなにが主食かなあなんて探偵ごっこをしながら食事を楽しんでおりました。にんまり満足げな癖っ毛です。

 

そのあと娘さんが英語の練習がしたいから付き合って、と。英語で部屋の紹介をしてくれました。まだまだ苦手そうでした。一方的に準備した文は大丈夫でしたが質問をすると困ったようでした。でも昼食を食べる時も”今日学校はないの?”という質問に対して部屋に戻って恐らく携帯で翻訳アプリを使っていたのか、しばらくして戻ってきて”今日は休みなんだ”と英語で答えてくれました。同じように携帯を使いながら裏で一生懸命準備していたのかなあなんて考えるととても愛らしく幸せな時間でした。

 

木曜日で学校休みというのは面白いので、毎週木曜日が休みなの?とか沢山質問したいことはありましたがこれで英語が嫌いになっても困りますし、ロシア語を勉強してこなかった癖っ毛がいけません。

後々わかりましたが多分娘さんは小学生でした。大人っぽいので中学生くらいかと思っていました。癖っ毛が小学生の時なんてHelloもAppleも知らなかったんじゃないかな。 

 

そんな感じで午前中を過ごしていたらアレックスさんが帰宅しました。またナンバープレートなしのプリウスに乗り込みウラジオストクを目指しました。

 

途中サーキットのようなところに寄り、日本のドリフトレーサーがここで練習しているんだなんてことを言っていました。

ウラジオストクまでの道は長崎や佐世保を思い起こさせました。街の近くはアップダウンが激しそうで、これもあってか自転車でウラジオストクまで行くということに反対していたのでしょうか。正直お昼までにはウラジオストクに着いて観光もしたくアレックスさんの帰宅を待たずして自転車で行くことも交渉してみましたが、車で連れて行くから待っていなさいと言われていました。

 

アレックスさんが通っていた大学も通り過ぎました。日本と異なるのはこの地域だけに言えることかもわかりませんが圧倒的な車社会であることです。大学周辺の道路沿いにはずらーっと並ぶ路上駐車の車。大学の敷地内にはイオンデパートの立体駐車場並みの規模の駐車場がありました。電車は大きな町と町との間だけで、ちょうどウラジオストク周辺は坂も多いので自転車も見当たりません。車かバスが主な移動手段のようです。

途中寄ったガソリンスタンドでもレギュラーガソリンが安かったです。1リットル40ルーブルでしたので約80円程度でした。今回どこの国でも確保できるようにキャンプ用の燃料はカセットガスなどではなくレギュラーガソリン対応のものを購入したのでとりあえずロシアは安そうでよかったです。と言うのも石油産出量はアメリカ、サウジアラビアに次ぐ世界第3位でございました。ガソリンの安さも納得です。

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日露戦争時に使っていたという砲台跡も寄りました。橋の向こう側には同じのがあり、レプリカかどうかそちらはまだ銃が装備されていました。つい100年前まで戦争をしていた仲が今は仲良くドライブをしている。すごく不思議な感覚です。1898年に建てたとあったのでまさに日露戦争を見据えて建てたのでしょうか。

 

貨物関係で働くおじさんの職場に寄ってなにやら預け荷物を渡していました。すると、”彼と一緒に貨物列車でモスクワに行くかい?3週間くらいかな。”と言われました。真面目に受け取って”3週間は少し長いかな、ビザも切れてしまう。”と返したら冗談だったようで”僕にとっては少しじゃなくてとても長いかなあ”なんて笑って返されました。

 

そんなこんなで色々寄り道しながらウラジオストクの街へやってきました。

 

駅でお別れかと思っていましたがしっかり電車に乗れるようにサポートしてくれました。インターネットで予約はできるものの、その予約書を印刷しただけでは乗れません。チケットカウンターでチケットに替えてくれました。そのあと駅待合室の電光掲示板の見方を教えてくれました。

一番左の列車番号にホームの番号と大変助かりました。大体駅内の案内を終えて、他にやることはあるかいと言われてロシアルーブルへの両替とSIMカードの旨を伝えるとまたまた一緒にやってくれる様子。

駅正面口を出て左に200m程歩いたところにある銀行で両替をしました。正直1人であればレートなどを気にして色々回りたかったですがアレックスさんもいるのでここで両替しました。でも2万円で10040ルーブルと変えられたので、2.44のレートだった成田と比べればはるかによかったです。ほぼ正規レートでした。

 

次に駅前のMTCというロシア携帯キャリアにSIMカードを購入しに行きました。

インターネットのみ1週間で7GBや1ヶ月で15GB(1週間で3.75GB)やまた電話も含むものなどいくつかプランがありました。自分は2週間しかロシアに滞在しないので1ヶ月分は無駄になってしまうので、インターネットのみ1週間7GBをとりあえず購入しました。それで500ルーブルでした。

ここで問題になったのがSIMを入れてみましたがアクティベートをする必要があるらしく、iTunesWiFiに繋がなければいけません。正直両替やSIMの購入も1人でできなくはないので駅の案内が終わってお別れしようと思っていましたが、アレックスさんがついていてよかったと思いました。アレックスのiPhoneでデザリングしてWiFiに接続できてアクティベートをすることができました。auキャリアのiPhoneで不安はありましたが無事ロシア回線でつなぐことができました。本当に本当に助かりました。少し前にお別れして1人で購入していたらどうしていたんだろう。

 

やっと必要最低限なことが終わり、お別れすべく自転車を下ろしに車に戻ると娘さんの機嫌が悪そうでした。恐らく治安が良くはないであろう街で小学生が車の仲で何時間も待たされる。相当不安だったと思います。本当に申し訳なく、猛省しました。あとは自転車と荷物を駅に持っていくだけだからと、なんとかアレックスさんが娘さんをなだめていました。

自転車と荷物を駅まで運んで、アレックスさんの案内で一時荷物預かり所に預けました。本当に自分1人では一時荷物預かり所があることは知ることもなかったでしょう。日本人のシベリア鉄道ブログでも見たことはありません。駅のホームの隅っこで英語で案内がある訳でもありません。気づくことはなかったでしょう。2つで350ルーブル程でした。このおかげでこのあと自転車などを持ち歩いたり、どっかに置いたりして盗まれるなどの負担や心配なくスーパーで食料調達したり、少しではありますが街を散策できました。

 

アレックスさんがいなかったらどうしていたんだろう。5.6時間も大きな荷物のために駅の待合室で大人しくしていただろうか。

 

荷物を預けて、もう一度乗車の手順を確認してではスーパーに買い出しいくよと言ってアレックスとお別れしました。娘さんを待たせているのもあり、ばたばたしたあっさりした別れでした。

 

スーパーに入り、物色していると先ほど別れたばかりのアレックスさんが現れました。娘さんに促されたのか思い出したように写真を撮ろうと。すぐうろちょろしてしまう癖っ毛がまだスーパーにいてよかったです。

早速スーパーの外へ出て、アレックスさんと娘さんと写真を撮りました。改めてしっかりとお別れできました。最後は娘さんの表情も少し明るくなりよかったです。本当に本当にお世話になりました。初日でこんなになって、この旅でありがとうを何万回言えばいいのだろうと。

ここら辺で有名なチョコレートとアレックスさん家の蜂蜜も餞別にもらいました。

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お別れしたあとはとりあえずスーパーは夜23時までやっているみたいであとで調達できそうなので暗く危なくなるまで街の散策をして時間を潰しました。

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無料の公衆トイレもありましたが、この公衆トイレや駅構内のトイレ含め有料が基本的なようです。この公衆トイレは一番左の部屋に人がいて恐らくその人にトイレ入る前後でお金を払います。駅のトイレでは出てきた人が真ん中の警備員さんに支払っていました。またこの外の公衆トイレは詳しい時間はわかりませんが夜暗くなって戻ってきたら鍵がかけられ閉まっていました。

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建築様式など詳しくわかりませんが、やはり欧米の街並みは黄色人種としてはテンションがあがりますね。どこを切り取っても画になり、カメラが追いつきません。欧米初心者丸出しですが、1ヶ月もすると慣れてカメラを取り出さなくなってしまうのでしょうか。悲しいものです。

 

事前調べも特にしていなかったり、暗くなって来たので2時間程歩いて駅方面へ戻りました。

 

スーパーであまり長期の旅で序盤に贅沢はしていられないので食パンとジャム、水だけを買いました。物価を見るためにスーパーの中をぶらぶらしていました。日本とあまり変わらないような印象です。菓子パンは50~100円前後でパン14枚薄めで約60円だったり若干安いですが、果物や野菜ジュースは160円前後で特に安いという印象は受けませんでした。レッドブルも日本のコンビニの方が安かったです。

 

あとは駅で大人しくすることにしました。駅もむしろ美術館というような感じで特に正面口入って上の画は特に綺麗でした。全てはわかりませんが、モスクワの教会など有名どころが描かれているようでした。

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電光掲示板で自分の乗る電車のホームが決まると荷物を取りに行き移動を開始しました。1番ホームであれば荷物預け所の前なのでよかったのですが、3番のため陸橋を上がって向こう側に行かなければなりません。アレックスさんに1番だったらいいねえ、なんて言われていたのですがここは1人で運ぶしかありません。警備員の服装をした人に手伝っている奥様もいらっしゃいましたが当然チップも必要だろうし自力で頑張りました。

まずは自転車を運んで、ホームに置いてこの短時間で盗まれまいと小走りでまた預け所に戻りラッピングしたバッグ類を取りまたせっせと運びました。外が寒いくらい涼しいのでちょうどよかったです。それから小一時間半ほどホームで待ちぼうけ。

準備が整って乗車が始まりました。結構1人1人時間を要しています。一番初めに来ましたが一気に人が来て戦闘不能、後ろで待機していました。

やっと皆が入ったあとで癖っ毛の乗車チェックが始まりました。ここで問題発生。

癖っ毛のパスポートとチケットの確認を終え、自転車を入れようとすると明らかに怪訝な顔を示す車掌さん。元々アレックスさんがチケットカウンターでやりとりしていたのを見ていたので何となくわかりました。

自転車は別に荷物用のチケットが必要で別の貨物用のスペースに入れるようです。多分大丈夫だけど何か言われたら荷物用のチケットを買うように言われておりました。それもあって意図は理解できました。

自分が外国人であるために車掌さんが電車に戻り英語を話せるロシア人の方を連れてきました。少し大事になってしまいました。奇跡的に乗客の中に日本語の通訳者というロシア人女性がいてくれて丁寧に対応してくれました。車掌さんはすごく険しい表情です。出発10分前というのもあり、”早くチケットカウンターに行って、荷物用のチケットを買いなさい”と言われました。その日本語を話せる女性と共にチケットカウンターまで走り、なんとか買うことができました。買う時に滞在先の住所なども求められましたがすぐにはアレックスさん家の住所もわからず、代わりにその女性の住所を使う始末。シベリア鉄道での輪行容易ではありませんでした。荷物用に別に900ルーブルを支払いました。急いで戻ると早く電車に乗り込むよう言われ、自転車も車掌さんがどこかに持っていきました。今もなおどこに自転車があるのか、無事なのか…。モスクワで無事会えることを願います。

 

最後慌ただしくなってしまいましたが自転車も共に一応無事にシベリア鉄道に乗り込めた2日目でした。

すでに午前1時です。乗車がばたばたしたこともあり、少し落ち着いてからこの日はもう就寝しました。

 

ではシベリア鉄道内7泊8日の生活はまた次回。