汗かき、べそかき、自転車漕ぎ、

自転車旅で感じたこと、ぼやきその他いろいろ

歳の数だけ東欧・南欧諸国1万キロ自転車旅第6走:モスクワはもうすぐ(モスクワ)だ。

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癖っ毛は停車駅での光景が好きです。1日に4駅ほど15〜50分と長く停車駅する駅があります。走行中電波は繋がらないため、駅につくと早速家族や友達に電話をかける人。恋人とホームで遊ぶ人。運動不足解消に走る人。車内は禁煙のため待ってましたと一服する人。皆それぞれ思い思いに過ごしている。

 

ブログとリアルタイムでは若干のタイムラグがあります。まだ3日目のシベリア鉄道での生活を更新したばかりですが、実際にはもう7泊8日のシベリア鉄道の終わりもすぐそこです。10月19日午前11時過ぎにモスクワ駅に到着予定です。日本時間では同日6時間後の午後5時過ぎになろうかと。この停車駅の光景が見られるのも今停車している駅を含めて残すところあと2駅です。

そしていよいよモスクワだ。モスクワからはプロペラでもなく、ガソリンでもなく、電気でもない、自分の足でペダルを踏んで進んでいかなければいけない。

 

終わりが近づき、だんだんと悲しくなってきました。やっと生活にも慣れてきた頃このシベリア鉄道ともお別れをして、ヨーロッパの地を漕ぎ始めなければなりません。まだ電車に乗っていたい、嫌じゃ嫌じゃとお布団にしがみついていたい。それは決して自転車旅が嫌なのではなくて、すごくこの鉄道が居心地がいいからです。ただ時間は刻々と過ぎていく。

 

特にすることもないのだけれど、旅の本番が近づき興奮してきて寝ようにも全然寝れずな状態です。自分でも全身の毛細血管に毛穴全てが開きに開いているのがわかるようです。いよいよ始まる。ここ何日かは窓の外の景色を見ながら早くこの美しい景色の中を走りたいとうずうずしております。

 

シベリア鉄道編の記事はこれで終わりにしようと思います。アチョムさんとエグザさんとお別れして以降16.7.8日と特にこれと言った出来事は起こりませんでした。今回はいつものように1日のまとめということではなく、シベリア鉄道内での生活事情をまとめてはてなブログらしく実用的な記事にしようと思います。

 

モスクワに着いたら、2日間は市内を観光して21日に今回の本題である自転車旅を始める予定です。正直無事この9000kmのシベリア鉄道輪行を耐えてくれているのか、不安ですが…。結構揺れています。時々大きくガタンッとなることもあります。降りて受け取ってみないとなんともわかりません。

 

ということでシベリア鉄道内での皆さんの気になるような点や個人的に面白いと感じた点をまとめていきます。癖っ毛が利用した三等車を基に書いていきます。

 

【トイレ】

 トイレは各車両の前後に2つあります。奥の白いボタンを押して、線路に落としていくかなり古いタイプのものです。またトイレットペーパーなどが一緒に落ちないように先が円状になっている針金が下ろしてあります。最初間違えていつものようにトイレットペーパーも便器にぽいっとしてしまいましたが、この針金に引っかかったため線路に落ちずに済みました。やはり排泄物は自然に戻りますが紙など人工物は自然には還らずある種ポイ捨てと同等ですから環境破壊という点から落とさないようにしているのでしょう。トイレットペーパーは前にあるゴミ箱に捨てます。

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たこのトイレットペーパーは硬いです。汚い話になってしまいますがこちらのトイレットペーパーで拭いて力の関係もあると思いますが出血しました。乗車前から硬くて痛いというのは知っていてあるブログではウェットティッシュの持参などを強く薦めていました。が、現地水準で過ごしたいと特に持参せずこちらのペーパーを利用しました。ウェットティッシュを持っていけば何も困ったことはないのですが、癖っ毛と同じように現地レベルで生きたいという方へのおすすめとしては、横に設置されている水道で少し濡らすといい感じになります。日本の水で溶けるタイプのものではないので型崩れもしないです。途中からこのように工夫してトイレは済ませていました。

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横に設置してある水道はこのような感じです。主に顔を洗ったり、食器を洗います。この水道で難しい点が真ん中の手前に出ている部分を常に押した状態でないと水が出ないことです。日本のように1回押すとしばらく一定量水が出るということではなく、押している時しかでません。なので顔を洗う時などは手のひらを受け皿の形にして母指球でおしながら水をため、こぼれ落ちる前にささっと洗う。そんな感じだ。以前お伝えしたように定期的に補給しているため、水の勢いが弱くなる程度はあるかもしれないが完全に水不足で出なくなることは今回はなかった。

 

【お風呂・シャワー】

シャワーも湯船もシベリア鉄道にはない。これは二等にも同じことが言える。一等に関してはわからない。乗る予定も全くなかったので調べてもいない。今回は10月の中旬ですでにこちらは日本の冬のような気温であるため、汗をかかないので特に1週間シャワーがなくても気にならなかった。車内では本当に動くこともない。最悪タオルを濡らして身体を拭こうかなとは考えていたがそれも大丈夫だった。こればかりはちょうどこの季節に助けられた部分は大いにあると思う。またお風呂がないことは皆周知でお互い理解しているので、特にあの人身体洗ってないわよねなどという周囲からの視線も気になることはなかった。ある程度仲良くなってから気になっていたのでアチョムさんとエグザさんにも聞いてみたが、彼らも洗ってないと言っていた。彼らの場合はイルクーツクで降りるため癖っ毛とは事情が多少異なるかもしれないが。エグザさんも涼しくて汗かかないし大丈夫だよ、と言っていた。夏場のシベリア鉄道事情はなんとも言えない。日本からボディーペーパーを持参すれば大丈夫のように思う。またイルクーツク駅辺りでバイカル湖観光がてら途中下車してホテルに滞在して身体を洗うのもいいだろう。モスクワまでの7泊8日は長いかもしれないが、イルクーツクまでの2泊3日程度ならお風呂シャワーない状態でもわがまま言わず耐えてほしいところ。

ただ途中髪の毛は気になってきたので1度4日目あたりに洗った。先ほどのトイレの洗面所で、コップに水をためてうまく洗った。

 

【インターネット環境】

車内WiFiはない。シベリア鉄道内でインターネットを利用したければ現地キャリアの回線を使う必要がある。今回癖っ毛はMTCという現地キャリアの1週間7GBで500ルーブルプリペイドSIMカードを購入して利用していた。ただ常に繋がることができるわけではない。皆さんが想像する通り大平原を走るシベリア鉄道だ、そんなところに電波がある方が不思議だ。基本的に繋がるのは駅の前後だ。一旦駅を発車してしばらくするとすぐ白樺大地やら大平原になり圏外になってしまう。電車が走行中はインターネットは使えないと考えてもらっていい。回線は3G回線で特にストレスや問題なく利用できています。

 

【水】

一応飲み水が本来出るであろうものがある。が1度も水が出たことを確認したことはない。癖っ毛が試す時に限って水が切れているのか定かではない。基本的に皆ミネラルウォーターを持参している。これは使えないと思ってもらった方がいい。

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ただ給湯器はある。これはお湯が切れたところを確認したことはない。常に温かいお湯が出る。これを使用して皆ヌードルだったりコーヒーまたティーを楽しんでいる。最初使い方がわからず一番下の赤いレバーを動かしてヌードルを作ろうとしたがそこから出たのは水だった。正しくは温度計の左の蛇口をひねるとそこからお湯が出る。癖っ毛はタオルをお湯で濡らして、朝から温かいタオルで顔を拭き目を覚ましたり、ブログの作成や電子書籍で目が疲れたらまた同様にタオルを用いてオリジナルホットアイマスクにしたり存分に利用させてもらっている。

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【コンセント】

今確認しているところで三等車両には前後のトイレの中と外に2つで計4つと4人席にもコンセントがあるところもある。から車両全体としては計6つほどあるのではないかと思われる。

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このトイレ付近のコンセントがなぜか高いところにあり、皆の工夫が癖っ毛の中ではシベリア鉄道名物となってある。上の写真の方はジッパー袋に充電するものを入れて、またその袋をコンセントの差し込み部分で貫通させて落ちないようにしている。また下の写真の人はうまくケースを使って上の隙間に挟んでいる。最初これを見て癖っ毛も挟もうとしたが薄いためにうまくいかなった。それどころか奥は下のゴミ箱に貫通しており、奥に入れ過ぎてガシャーンという音とともにゴミ箱に落ちた。不幸中の幸いでゴミ箱とつながっていたからよかった。最初その音を聞いた時はどこに落ちたんだとひやっとした。

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そして以後癖っ毛はどうしたのかというと持っていたガムテープを使った。(どや顔)割とこのコンセント問題は乗客皆の真剣な問題だ。電車が大きく揺れたり、近くのドアの開閉時に振動で携帯が落ちたりして何回みんなのため息や困った顔を見たことか。そして癖っ毛の付近の人にはこのガムテープが人気で何人かの人には貸してあげた。最初ロシア語のガムテープなんて知らないし何を彼らが求めているのかわからなかったがジェスチャーで伝わった。きっと画期的だと巷で噂になっていたのだろう。こんな感じで止めていた。これは癖っ毛のガムテープを使って携帯を止めた人のものだ。人様のお役に立ててなによりだった。2日ほど前に癖っ毛座席上に来た人はなにか強面だったが、ガムテープを貸してあげて問題が解決してありがとうと言ってきた時のあの優しい顔は忘れられない。(言葉がわからないので詳しくは状況把握できていないが、その方は昨晩パスポート関係でなにやら警察に引っかかり連行されていったので本当に強面と装い通り裏社会の人だったのかもしれない。)

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【安全面・衛生面】

そこで気になってくるのがやはり安全面だろう。ただその座席上の人のようなことは稀だと思う。この7泊8日で連行されていくのを実際見たのはそれ以外に1人だ。また基本的には乗る時に厳しいパスポート検査をしている。また乗ったあとも各自の座席で行う。あとは人によ 寄ると思うが癖っ毛の車両の車掌さんは本当によく働いてくれて頼もしい。他の車両の軍の若者がナンパかどうか知らないが若い女性に話しかけている時に、どうしてここにいるんだ戻りなさいという感じで追い戻していた。あまりロシアにおいて軍関係の人は好まれないのだろうか。そういうような印象を少し肌で感じる。ただ単に他車両の人間だっただけだからなのか、そこら辺も気になるところ。

もちろん盗難に関しても最低限自己管理が必要だろう。停車駅で下車するときなども持ち歩いたりなどだ。狙おうと思えば寝ているときに狙えるであろうが、今のところそういうことは一切ない。逆に三等車は仕切りなどなく皆の監視の目があるという点ではより安心なのかもしれない。ディーカさんが軍の若者に癖っ毛のコートを盗られないように座席の下に隠したように。ただ警察が来たときにiPhoneを離れて充電して寝ていたら起こされて、これは君のか?と二本指を目にあてながら戻された。恐らくちゃんと見ていないと盗まれちゃうぞということを言いたかったのではなかろうか。だから完全に盗難がないということもないのだろう。

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また衛生面に関しても車掌さんには頭が上がらない。1日に3.4回ほどだろうか定期的にこのように掃除をしてくださる。ソビエト社会主義が背景にあるのか与えられた仕事は確実にこなさんとばかりに本当に丁寧に座席の下や隅まで清掃をしてくれる。ゴミも定期的に集めるため、ゴミ箱にゴミが溜まって捨てられないということもない。

癖っ毛の席はシベリア鉄道列車の中で最安値だ。トイレ付近は値が下がる。臭いのためだろうか。一番格下の三等車でトイレ付近のため一番安い。基本的に一等、二等、三等でまず大きく値が分かれる。そして次に上か下かで差が出る。上の方が上り下りの苦労の分だろうか、安くなる。そして最後の根を決める要因はトイレ付近かだ。トイレ付近では席の上下は関係ない。付近6席は一律で値が落ちる。今回窓からの景色を見たいがために座席は下と決めていた。トイレ付近であったが上座席と同じ料金で安いためにこの席にした。ただ車掌さんの働きでまったく臭いなど気になることはなかった。むしろトイレ付近が安いのは臭いではなく、人の出入りが深夜でも激しいためにドアの開閉も多い。その音のためではないだろうか。あとはトイレを済ませた後流す音がそこそこ大きいので、これらドアの開閉や水洗時の音が安い要因かなあ、と。臭いは本当に気にならない。バイトなし無職の身にとっては少しでも旅費は抑えたい。この席を選んで安いしコンセント近いし本当によかった。給湯器まで遠いのが唯一難点だろうか。ヌードルにお湯を入れて、周りもひやひやしながら列車も揺れて慎重に席まで戻らないといけない。

 

【車内での過ごし方】

先ほどもお話した通り基本インターネットは使えないのでスマホをいじる人は少ない。本を読んだり、編み物をしたり思い思いに過ごしている。昨晩は隣の4人席はトランプをしていた。若い女性3人と青年1人におじさん1人で、初対面だろうが隔たりなくとても素敵な光景だった。音楽を聞いたり、アプリでゲームをしたりそこら辺は日本の車内と変わらないかもしれない。

ティーを飲んでほっとひと息ついたり、あと日本人としてはありえないだろう本当にぼーっとする人もいる。ただそこに座って、何をする訳でもなく本当にぼーっとしているのだ。忙しなくなにかしていないと落ち着かない働きアリな日本人には到底できっこない行為だと思う。典型的な日本人な癖っ毛もその様子を見ながら、何を今考え、何を思っているんだ!と不思議にならざるを得なかった。

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あとは圧倒的に寝る人が多いですかね。本当にすることはないですから、観光客でもない現地の人からしたら車窓からの景色も日常だろうし食べては寝て、また起きて食べては寝る。それがスタンダードな気がします。本当に”Karoushi”が代名詞となった日本人からしたら不思議な光景がここには広がっていると思います。

あと面白いのは共有する時間とプライベートな時間を阿吽の呼吸で切り替えながら自分のしたいように皆が過ごしている。

皆で雑談して冗談言い笑い合っていると思えば、すーっとまた寝始めたりまた1人は読書楽しんだり、編み物したり。トランプをしている途中でも1人抜けてベッドに戻り寝たり音楽を聞いたり。そしてまたいつしかすーっと集まっておしゃべりが始まる。面白いリズムが流れているなあと思います。

 

日本人の多くはやはり気を遣って自分を殺したりする人が多いと思います。先日の内定式も懇親会が終わってホテルに着き、二次会に行きたければ行けばいいし、疲れているなら部屋に戻ればいい。だらだらホテルの入り口で大所帯で固まっていました。送迎バスでホテルの入り口で降ろされて、癖っ毛は疲れていたのでそそくさと1人部屋に戻りました。次の日の朝食を買いに外へ出てコンビニから戻ってきてもまだ入り口で固まっていました。正直これからやっていけるのか不安になりました。そんなこともあってシベリア鉄道内のこの様子を伺ったりすることなく自由にそれぞれが時間と空間をうまく共有している感じがより印象づけられました。

 

これに関しては癖っ毛がせっかちだったり自分勝手過ぎるのかもしれません。またシベリア鉄道内の彼らも本当はすごく気を遣っているかもしれません。ただ特に日本人の癖っ毛にとってはこれらの光景は素敵に見えました。

 

だいたい気になるようなところはお話してきたと思います。車内販売や食堂含め食事に関しても日記の中で触れたと思います。イルクーツク過ぎた辺りから車内販売のおばちゃんが変わってしまい少々もの寂しさを感じております。あのおばちゃんの”ピロシキピロシキ、ソーシスカ…”のかけ声が好きでした。通り過ぎる度に日焼けしてるだの、お腹を突っついてきてあなたは細いんだから食べなさいとピロシキを勧めてきました。途中からはおばちゃんも変わると同時にピロシキの販売もなくなり別のものを売っていました。あとは最後に車掌室を紹介してシベリア鉄道編を終わります。

 

【車掌室】

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なんでも揃っているのが各車両の車掌室だ。いつだったかある駅のホームで買い物をしていると車掌さんがこっちへ来いという風な素振りをしてきた。案内されたのは車掌室だった。恐らく車掌室にもあるからホームで買うんじゃないと言いたいのだろう。軽食にペットボトルやティーパック含め飲み物がある。1度体験としてココアを購入したが一杯80~100円程で高かった。恐らくこれらは車掌さんの収入になるために勧めてきたのだろう。でも少々高かったが清掃などのチップも含むと考えればむしろ心地よかった。旅中多く飲む人は事前にスーパーでティーパックなどを買ったほうが確実に安上がりだ。車内販売も車掌室も車内から出る必要がない分割高な印象だ。また車掌室で買ったものでなく持参したティーを飲むときでも声をかければ無料でお洒落なグラスを貸してくれる。

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これらのグラス含めお土産もいくつか販売しているそうだ。

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恐らく座席の様子なんかはたくさんのブログでも紹介している。またシベリア鉄道 席 とでも画像検索すれば出てくると思うのでそちらを参考にしていただきたい。

 

いよいよ4時間後だ。モスクワに着く。

昔新幹線もなかった頃軽トラや鈍行での上京というのはこのような感じだったのだろうか。だんだんと街の様子が変わってくる。交通量や人通りも多くなってくる。まちもいくらかきらびやかだ。

モスクワはどんな街並みなのだろう。どんな人たちがいるのだろう。

自転車旅の開始は着実に近づいている。

ここからが旅の本番だ。居心地のよいシベリア鉄道での生活に別れを告げ、ヨーロッパの大地へと飛び出していかなければならない。

 

モスクワはもうすぐ(モスクワ)だ。

 

まだつまらないダジャレを言う余裕もある。正直車内では精神的に余裕もあったので自分以外にアンテナを張り色々享受できた。自転車旅が始まってもしっかりと吸収し共有できるよう心がけていきたい。

 

今回は幾分か他の記事より長くなってしまいました、お読みいただきありがとうございます。

ではでは失礼します。