汗かき、べそかき、自転車漕ぎ、

自転車旅で感じたこと、ぼやきその他いろいろ

歳の数だけ東欧・南欧諸国を巡る1万キロ自転車旅第7走:生命を感じない街モスクワ。

 

すっかりこの日も観光客やってきました。

朝から欧米と一括りにしていいのか、恐らく個人のプライベートを守るこちらの振る舞いに少し頭を抱えておりました。どこかで読んだことがありました。欧米の観光客だか留学生で日本へ来たときにどこどこへ連れて行ってあげるだのそういう感じで声かけをしていたのがその当人にとってはストレスになっていたというような話です。プライベートの時間を確保したい欧米的な習慣とゲストをもてなしたり、1人にさせては可哀想や寂しいだろうという日本的な振る舞いの間に生じた問題についてでした。

逆にプライベートを守られ過ぎて苦しんでおります。だいたい朝食ができればご飯の準備ができました、と声をかけにくる日本。パベルさんのお宅では一切ありません。恐らく自分で好きな時に起きて、そして初めて朝食が準備されるというような感じなのでしょうか。今起きたら迷惑かなあ、と正直朝から動きたかった自分ではありますが、12時くらいまで部屋で待機してさすがに昼過ぎまで部屋は息苦しくなりさすがに迷惑ではないであろうとリビングへ行きました。トイレも我慢しきれなかったので。パベルさんがおりましたが、パベルさん側はどのように感じたんでしょう。お昼過ぎまで寝過ぎだろう。これが日本人なのか。と驚いたのでしょうか。

席に着くと朝食というのか昼食というのかお食事が出てきました。やはり起きてリビングに着くのがこちらの振る舞いなのか。日本人的な癖っ毛としては他所者が勝手に起きて、リビングに自ら座ったら迷惑になるではと思ってしまう。住むわけではなく完全にゲストとホストの関係です。また親しい友達の家に泊まりに行くことはありますが、他人や本当に初対面の方ましてや海外となると初めてでどうしたらよいものか。

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そんなで早速パベル家初めての朝から悩んでおりましたが癖っ毛にはたまらない朝食でおいしくいただきました。なにがたまらないか、それはそこにロシアがあったからです。ロシアでは定番の黒パン。酸味が強く癖があります。初めて前日の夜に口にした時にはなんだこのパンは、と衝撃を受けました。硬いし独特の風味がある。最初は味も好きではないと思いましたが段々と癖になってくる。すぐに食事後調べてみるとやはりこちらでは一般的なようでした。ハイジでもこの黒パンを噛み切れずに苦労するなんてシーンもあるみたいです。ただこの酸味がより旨味を引き立てて、前日添えられていたチキンとの相性は最高でした。

この朝食でも見事にクリームチーズとの相性も抜群。あと乳製品大国のロシアではスメタナやヨーグルトとこの黒パンを食べるのが一般的、ヨーグルトの種類もたくさん。今回はチョコ味のヨーグルトを黒パンといただきました。ヨーグルトとパンと到底日本では想像もしておりませんでしたがいい感じです。いやあ本当に癖になる黒パン。恐らく旅の時には大量に買って、毎朝の朝食と途中のエネルギー補給にしますね、これは。

 

しばらくして1時くらいに家を出ました。パベルさんにくっ付いてまた仕事場に行き、そこからは仕事が終わるまで街観光です。この日はモスクワ市内の仕事場まで車ではなく公共交通機関での移動でした。

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ミニバスを使いモスクワ大学横の駅まで、そこから地下鉄で仕事場の最寄駅まで行きます。ミニバスも地下鉄も日本のスイカと同様に電子カードでタッチするだけで便利です。また料金も一律のため乗車する際や改札を通る時にタッチするだけで下車する際は特になにもなくそのまま降ります。

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荷物置きもなく、座席も硬くシンプルなデザインで簡素でした。恐らくこれから行く機会があると思いますが駅も美術館のようで観光客が駅構内の外装目当てで乗車するほどです。料金も一律なのでうまく乗り換えて、いくつも駅を撮りに渡るそうです。それからすると電車それ自体は寂しく地下鉄で暗いのもありどんよりした雰囲気でした。

 

仕事場に着いてまた自転車と一緒に街へ繰り出しました。

クレムリンの中の修道院に行きたいのですがこの時すでに3時過ぎで...これから行って回るには閉まるのが6時で時間に追われながらになるのでこの日はパスしました。行くあてもなくただモスクワ川沿いを走っていました。

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なんだかなあ、街にあるお店は東京でもあるようなものばかり。グローバル化かあ、なんて考え込んでおりました。マクドナルドにスタバ、ケンタッキーにシェイクシャック。恐らく来年18年のワールドカップに向けてなのか、都市開発がどんどん進んでいます。屋台や昔ながらのお店はなかなか見当たらず途方に暮れていました。でも元々モスクワにはないのかなあ。モスクワの現代若者文化を知るという点ではおしゃれなカフェで食事を済ませてもいいのですがなんだか気が向きません。ここでハンバーガーとかチキン食べてもなあ。モスクワ川沿いのゴーリキー公園内の露店もかわいいアイスやホットドッグにケバブ屋さん。なんか違うんだよなあ。でも勝手に癖っ毛がモスクワに理想を押しつけているだけかとも思います。

 

街並みは確かにきれいですが生活感がないというか、人の生命を街から感じません。日本の居酒屋のようになにやら飲んで騒いでる声が聞こえるわけでも酔っ払いを見るわけでもない。インドネシアのようにアンコットの客引きの声や鳴り止まないクラクションの音はありません。モスクワもかなりの車の交通量は多いですが運転手が皆寛容か運転が上手いのかクラクションは全く聞きません。冬で寒いため外では乾かさないのか、洗濯物も一切見当たりません。

モスクワやサンクトペテルブルクの街を地図で見れば一目瞭然ですが街がきっちりと整理されていて統一されています。それは地図で道路が真っ直ぐ放射線状に地方に広がっているのもそうですが建造物にもその統一感は出てきます。全て同じデザイナーが担当しているのか、一定の決まりがあるのか。建物の外装や少し離れたオフィス街以外高さも同じです。

最近こそ例えば有名な赤い公園すぐそばに1ヶ月前にできた新しい公園はロシア人ではなくニューヨークのデザイナーがプロジェクトに関わったらしく、それは確かに現代的な建築物で他のモスクワの建造物や街並みとは異なっています。

人間は不完全な生き物で完全なものを見るとこれは嫉妬なのか、違和感また嫌悪感さえ感じるのでしょうか。これは単なる負け惜しみか。正直、果物などを売っている小さな屋台があり、裏通りの建物の窓が割られていたり廃れていたウラジオストクの方がモスクワより個人的には好みで落ち着くなあと。ウラジオストクでは生活や人が生きているのを垣間見ることができました。まあモスクワの場合パベルさんもそうですが郊外住むのが基本なので生活感ないのは当たり前と言えば当たり前かもしれませんが。

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街は確かに綺麗なんですけどねえ。恐らくデートや旅行にはもってこいだしお勧めはしますね。お洒落なカフェやバーにこの街並みです。ただ旅人にとってはあまり魅力的でないように思います。物価も日本と同じような感じでまた街が整い過ぎていて人によっては居心地が悪いかもしれません。やはり人間もそうですがどこか弱い部分があったり、それを見せた方が憎めないというそれを含めとても愛らしく見えてきます。が、街からは弱さや不完全さはまだ見当たりません。ソビエトやロシアとしてのプライドの高さのようなものが街にも現れている気がします。ロシア正教会の金が街の至る所で目に入ります。この金が日常に転がっているのがすごい違和感でそれもありなにか現実世界ではないような不思議な感覚になります。それをきれいと感じるか、人それぞれの好みです。

旅人癖っ毛がこの日モスクワで一番感動したのは乳製品大国ロシアのスーパーマーケットです。モスクワは物価が高く、1人で贅沢するのもなあ、と朝の黒パン以降なにも食べていませんでした。でも気分もすっきりせずお腹減ってきたのでさすがになにか食べるかとスーパーへ入りました。

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モスクワ都市部の小さなスーパーで乳製品がこの量です。飲むヨーグルトとビスケットを買ってなんとかお腹を満たしました。こちらでは飲むヨーグルトにもちゃんと別の名称があります。ロシア人からしたらヨーグルトとは違うのでしょう。そのくらい生活に根ざしているのでしょう。日本人がヨーグルトと飲むヨーグルトと言うのは、ラーメンと油そばがありますが、外国人にそれをラーメンと汁なしラーメンと言われている感覚でしょうか。また発酵濃度か色々パーセンテージがあります。今回は2.5%のものを飲みましたがどろっとしていて面白かったです。一気に飲むとのどに詰まりそうな程です。実際に癖っ毛もおいしくておいしくて一気に飲んだらむせました。1%や3.2%のものなどとの違いなど、ここら辺の乳製品はまだロシアを抜けてエストニアに入るまで1週間あるのでお財布の様子を見ながら色々試して行きたいです。

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1日のハイライトがスーパーマーケットって…でも楽しみも人それぞれですからね…いいでしょう。笑観光で来ているならモスクワは本当にカフェが多いし、そこら辺でお洒落にティーでも飲んだりハンバーガー食べたりしたいですがそれはいつかまた観光で来るときにしましょう。昔からあるロシア料理を食べれる地元民もよく行くらしいファミリーレストランだったり、学生や独身男性に人気のペリメニの有名なファーストフード店などもどんどん都市開発なのか閉店しています。少し寂しい気がしております。

 

仕事終わりが遅く連絡が来てパベルさんの元へ戻ったのが9時半とかでそこから今回は郊外電車で帰りました。地下鉄は不可みたいですが郊外電車は自転車をそのまま解体や梱包せずに乗せられます。仕事場から自転車で最寄駅まで行き自転車とともに乗車しました。

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その駅までの途中ではこんな風景を見て癒されました。生命を感じないモスクワで人を感じることができました。おばあちゃんもノリノリでそれを見てなぜだかほっとひと安心した癖っ毛でした。金曜日の夜だったこともあり、アルバート通りでは芸術通りらしくこのようにアーティストさんが色々やっています。スプレーアートに大声を出して小劇場だかやっている方もいました。

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まだまだなにも掴めない、魅惑の街モスクワ。