汗かき、べそかき、自転車漕ぎ、

自転車旅で感じたこと、ぼやきその他いろいろ

第十六走:等身大。

今、大丈夫?と優しくされたらころっと恋に落ちてしまいそうです、癖っ毛です。

 

今日はつらつらと癖っ毛の弱い部分、等身大の癖っ毛を書いていこうか、と。

 

大したことは書きません。約40日も自転車を漕いでいれば落ち込む日もあるんでございます。今日はその日でしたかね。心に余裕がありませんでしたね。宮崎県のことを嫌いになりそうでした。

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朝は別府の湯けむり展望台からラジオ体操をするおじちゃんおばちゃんを背に湯けむりを見ながら良い朝の始まりだったんですが。

少し走ってみるとなんだか調子が乗らない。大分県庁までの10kmちょいでくたくた。まあ昨日相当走ってますからね。フェリーのことを考えると今日宮崎市までいくのが理想的で、焦りもちらほら。

 

大分県庁着いて警備員さんと話してましたけれどもやはりこの暑さは異常なようですね。南下しているからだと騙してきましたが、とんでもない暑さです。今日も暑かったです。それに加えて大分から宮崎はどう行こうにも山を越えないといけない。国道10号と326号で豊後大野市辺りでしたかね。ずっと登り下りで。脚も疲れ溜まってますから、簡単ではなかった。汗が止まらない。汗でハンドルは滑る。額からの汗が目に入り痛い。左足の靴擦れも痛くて痛くて。なんとも惨めな姿です。山を越えても越えても次の山が、次の町が。いつになったら海に出れるのやら。午後2時になってまだ60kmしか走っていない。

車は自動車道利用しますし山間部では人も車も少なく、黙々と孤独に走り続ける。強い日差し、とんでもない暑さ、蝉の声が耳に障るほど疲れてました。20kmごとにある道の駅に着くやヘルメットとバックを投げ捨て、その場に仰向け。息が落ち着いたらお手洗いで水を浴びて。そんなことを2.3回続けやっと海が見えました。

 

ただここから宮崎のダブルパンチが炸裂。事前に地図を見た限り平坦だと思っていて、てっきり山越えが今日の山場だと…。

延岡から宮崎市街地まで本当に海岸沿い特有のずっと登り下り…。登り車線の案内を見る度に溜まるフラストレーション。宮崎来るまでに2.30回は見た気がします。あれが見えた時の絶望感。

こんなに必死で漕いで、3.4時間もかけて宮崎市街に着くのに車は1時間かそこらでたどり着く。この時代に不釣り合いか、必死に漕いで意味があるのか。そんなことさえも頭をよぎる。

これ以上に精神的に辛いことはこの先の人生あるだろうけどこれ以上に肉体的に辛いことはこれから先ないんじゃなかろうか。こんなに走ってもモテる訳でもお金持ちになれる訳でもない。お腹も減り沢尻エリカ状態で完全に余裕がなかったですね。

誰かに嘘でもいいから、この旅は意味あるよ。将来役に立つよと言ってくれないか、と。無駄なことばかり走りながら考えて。

 

今読んでる本が言っていました。大事なことや意味あることは速効性のあるようなこととは別ものだって。いつか予期せぬ時に役に立つものなんだと。そんでその時もなにかピンチになったりヤケになったりした時それを乗り越えてあとで気づくらしい。あぁ、あの時の経験が活きたなって。どこでつながりがあるかわからない。簡単に損得の形になって現れてこないんだとさ。

でも正直見えない”いつか”を拠り所にして今走り続けるのは簡単ではないのです。本当にそのいつかが来るんだろうか、と。覚悟が必要てすね。そんな中テレビをだらだら見ているどこかの誰かを羨んでみたり。全く情けない限りです。

 

結局宮崎市内に着いたんですが、着いたのが夜10時。まだ温泉施設の休憩所におります。そんなで3.4時間は真っ暗な中ひたすら走っておりました。まあ、星やお月様は綺麗でした。上のようなつまらないことを考えては、夜空を見て心を浄化させての繰り返し。

 

この途方もない山道と海岸沿い、宮崎県を嫌いになりそうでした。いやすでに少し嫌いになつちゃったかな。全く宮崎県は悪くないのに、とんでもない勘違い野郎だ。

もういい加減にしてくれ、平坦じゃないのかよ。いつまで続くんだ。心の中で何度も叫んでいました。ここだけの話、人気もないような道で実際に叫んじゃったりもしちゃったね。まだまだ弱いなあ、脆いなあ。全然成長していないなあ。

 

夜7時になり、夜10時に宮崎市内に着くのは確実だったのでここいらで腹ごしらえをしないといけないと目の前にあった田舎家さんに入りました。

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宮崎名物チキン南蛮を頼んだんですが、日焼けを見るなりとても優しくしてくれました。アイスコーヒーを無料で、ご飯の大盛りもサービス。そしてチキン南蛮のお肉も増量してくれした。本当においしかった。自然を恨んだって仕方ないのに、山や海岸沿いの地形にイライラして宮崎県を嫌いになりそうな自分のちっぽけさに恥ずかしくなりました。田舎家の女将さんの器の大きさ、優しさに救われました。

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はい単純な男です、宮崎県はいいところです。

 

この旅は意味があるのか、役に立つのか。そんなこと知りません。正直グータラしたい自分もいますよ。でも来たる”いつか”を半分信じて明日からもまた走ります。新潟まで走らないと格好がつかないですからね。

明日120km走ればフェリーに乗れます。鹿児島新港から那覇港まで丸1日かかりますから遂に休息日です…。走らない日です。沢山寝られます。ふぅ。

10日に出発して明日含め17日間走り続けています。21日間のあのツールドフランスでも1週間に1日は休息日ありますからね。やっと休めます。我ながら少しストイックですかね。もっとのんびりな自転車旅が理想なんですけどね、仕方がありません。

 

格好つけて人生論や教訓やらを語るのもいいですがたまには弱さと向き合うのも大事なことでしょう。今日の記事は皆さんに読んでもらうというよりはしっかりとこういう自分も記録するためですね。お付き合いありがとうございました。

 

今日も180km走りました。疲れましたよ、ええ。でも今からコインランドリー行って、寝所も探さねば…。ではでは、失礼します。