汗かき、べそかき、自転車漕ぎ、

自転車旅で感じたこと、ぼやきその他いろいろ

歳の数だけ東欧・南欧諸国1万キロ自転車旅第6走:モスクワはもうすぐ(モスクワ)だ。

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癖っ毛は停車駅での光景が好きです。1日に4駅ほど15〜50分と長く停車駅する駅があります。走行中電波は繋がらないため、駅につくと早速家族や友達に電話をかける人。恋人とホームで遊ぶ人。運動不足解消に走る人。車内は禁煙のため待ってましたと一服する人。皆それぞれ思い思いに過ごしている。

 

ブログとリアルタイムでは若干のタイムラグがあります。まだ3日目のシベリア鉄道での生活を更新したばかりですが、実際にはもう7泊8日のシベリア鉄道の終わりもすぐそこです。10月19日午前11時過ぎにモスクワ駅に到着予定です。日本時間では同日6時間後の午後5時過ぎになろうかと。この停車駅の光景が見られるのも今停車している駅を含めて残すところあと2駅です。

そしていよいよモスクワだ。モスクワからはプロペラでもなく、ガソリンでもなく、電気でもない、自分の足でペダルを踏んで進んでいかなければいけない。

 

終わりが近づき、だんだんと悲しくなってきました。やっと生活にも慣れてきた頃このシベリア鉄道ともお別れをして、ヨーロッパの地を漕ぎ始めなければなりません。まだ電車に乗っていたい、嫌じゃ嫌じゃとお布団にしがみついていたい。それは決して自転車旅が嫌なのではなくて、すごくこの鉄道が居心地がいいからです。ただ時間は刻々と過ぎていく。

 

特にすることもないのだけれど、旅の本番が近づき興奮してきて寝ようにも全然寝れずな状態です。自分でも全身の毛細血管に毛穴全てが開きに開いているのがわかるようです。いよいよ始まる。ここ何日かは窓の外の景色を見ながら早くこの美しい景色の中を走りたいとうずうずしております。

 

シベリア鉄道編の記事はこれで終わりにしようと思います。アチョムさんとエグザさんとお別れして以降16.7.8日と特にこれと言った出来事は起こりませんでした。今回はいつものように1日のまとめということではなく、シベリア鉄道内での生活事情をまとめてはてなブログらしく実用的な記事にしようと思います。

 

モスクワに着いたら、2日間は市内を観光して21日に今回の本題である自転車旅を始める予定です。正直無事この9000kmのシベリア鉄道輪行を耐えてくれているのか、不安ですが…。結構揺れています。時々大きくガタンッとなることもあります。降りて受け取ってみないとなんともわかりません。

 

ということでシベリア鉄道内での皆さんの気になるような点や個人的に面白いと感じた点をまとめていきます。癖っ毛が利用した三等車を基に書いていきます。

 

【トイレ】

 トイレは各車両の前後に2つあります。奥の白いボタンを押して、線路に落としていくかなり古いタイプのものです。またトイレットペーパーなどが一緒に落ちないように先が円状になっている針金が下ろしてあります。最初間違えていつものようにトイレットペーパーも便器にぽいっとしてしまいましたが、この針金に引っかかったため線路に落ちずに済みました。やはり排泄物は自然に戻りますが紙など人工物は自然には還らずある種ポイ捨てと同等ですから環境破壊という点から落とさないようにしているのでしょう。トイレットペーパーは前にあるゴミ箱に捨てます。

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たこのトイレットペーパーは硬いです。汚い話になってしまいますがこちらのトイレットペーパーで拭いて力の関係もあると思いますが出血しました。乗車前から硬くて痛いというのは知っていてあるブログではウェットティッシュの持参などを強く薦めていました。が、現地水準で過ごしたいと特に持参せずこちらのペーパーを利用しました。ウェットティッシュを持っていけば何も困ったことはないのですが、癖っ毛と同じように現地レベルで生きたいという方へのおすすめとしては、横に設置されている水道で少し濡らすといい感じになります。日本の水で溶けるタイプのものではないので型崩れもしないです。途中からこのように工夫してトイレは済ませていました。

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横に設置してある水道はこのような感じです。主に顔を洗ったり、食器を洗います。この水道で難しい点が真ん中の手前に出ている部分を常に押した状態でないと水が出ないことです。日本のように1回押すとしばらく一定量水が出るということではなく、押している時しかでません。なので顔を洗う時などは手のひらを受け皿の形にして母指球でおしながら水をため、こぼれ落ちる前にささっと洗う。そんな感じだ。以前お伝えしたように定期的に補給しているため、水の勢いが弱くなる程度はあるかもしれないが完全に水不足で出なくなることは今回はなかった。

 

【お風呂・シャワー】

シャワーも湯船もシベリア鉄道にはない。これは二等にも同じことが言える。一等に関してはわからない。乗る予定も全くなかったので調べてもいない。今回は10月の中旬ですでにこちらは日本の冬のような気温であるため、汗をかかないので特に1週間シャワーがなくても気にならなかった。車内では本当に動くこともない。最悪タオルを濡らして身体を拭こうかなとは考えていたがそれも大丈夫だった。こればかりはちょうどこの季節に助けられた部分は大いにあると思う。またお風呂がないことは皆周知でお互い理解しているので、特にあの人身体洗ってないわよねなどという周囲からの視線も気になることはなかった。ある程度仲良くなってから気になっていたのでアチョムさんとエグザさんにも聞いてみたが、彼らも洗ってないと言っていた。彼らの場合はイルクーツクで降りるため癖っ毛とは事情が多少異なるかもしれないが。エグザさんも涼しくて汗かかないし大丈夫だよ、と言っていた。夏場のシベリア鉄道事情はなんとも言えない。日本からボディーペーパーを持参すれば大丈夫のように思う。またイルクーツク駅辺りでバイカル湖観光がてら途中下車してホテルに滞在して身体を洗うのもいいだろう。モスクワまでの7泊8日は長いかもしれないが、イルクーツクまでの2泊3日程度ならお風呂シャワーない状態でもわがまま言わず耐えてほしいところ。

ただ途中髪の毛は気になってきたので1度4日目あたりに洗った。先ほどのトイレの洗面所で、コップに水をためてうまく洗った。

 

【インターネット環境】

車内WiFiはない。シベリア鉄道内でインターネットを利用したければ現地キャリアの回線を使う必要がある。今回癖っ毛はMTCという現地キャリアの1週間7GBで500ルーブルプリペイドSIMカードを購入して利用していた。ただ常に繋がることができるわけではない。皆さんが想像する通り大平原を走るシベリア鉄道だ、そんなところに電波がある方が不思議だ。基本的に繋がるのは駅の前後だ。一旦駅を発車してしばらくするとすぐ白樺大地やら大平原になり圏外になってしまう。電車が走行中はインターネットは使えないと考えてもらっていい。回線は3G回線で特にストレスや問題なく利用できています。

 

【水】

一応飲み水が本来出るであろうものがある。が1度も水が出たことを確認したことはない。癖っ毛が試す時に限って水が切れているのか定かではない。基本的に皆ミネラルウォーターを持参している。これは使えないと思ってもらった方がいい。

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ただ給湯器はある。これはお湯が切れたところを確認したことはない。常に温かいお湯が出る。これを使用して皆ヌードルだったりコーヒーまたティーを楽しんでいる。最初使い方がわからず一番下の赤いレバーを動かしてヌードルを作ろうとしたがそこから出たのは水だった。正しくは温度計の左の蛇口をひねるとそこからお湯が出る。癖っ毛はタオルをお湯で濡らして、朝から温かいタオルで顔を拭き目を覚ましたり、ブログの作成や電子書籍で目が疲れたらまた同様にタオルを用いてオリジナルホットアイマスクにしたり存分に利用させてもらっている。

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【コンセント】

今確認しているところで三等車両には前後のトイレの中と外に2つで計4つと4人席にもコンセントがあるところもある。から車両全体としては計6つほどあるのではないかと思われる。

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このトイレ付近のコンセントがなぜか高いところにあり、皆の工夫が癖っ毛の中ではシベリア鉄道名物となってある。上の写真の方はジッパー袋に充電するものを入れて、またその袋をコンセントの差し込み部分で貫通させて落ちないようにしている。また下の写真の人はうまくケースを使って上の隙間に挟んでいる。最初これを見て癖っ毛も挟もうとしたが薄いためにうまくいかなった。それどころか奥は下のゴミ箱に貫通しており、奥に入れ過ぎてガシャーンという音とともにゴミ箱に落ちた。不幸中の幸いでゴミ箱とつながっていたからよかった。最初その音を聞いた時はどこに落ちたんだとひやっとした。

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そして以後癖っ毛はどうしたのかというと持っていたガムテープを使った。(どや顔)割とこのコンセント問題は乗客皆の真剣な問題だ。電車が大きく揺れたり、近くのドアの開閉時に振動で携帯が落ちたりして何回みんなのため息や困った顔を見たことか。そして癖っ毛の付近の人にはこのガムテープが人気で何人かの人には貸してあげた。最初ロシア語のガムテープなんて知らないし何を彼らが求めているのかわからなかったがジェスチャーで伝わった。きっと画期的だと巷で噂になっていたのだろう。こんな感じで止めていた。これは癖っ毛のガムテープを使って携帯を止めた人のものだ。人様のお役に立ててなによりだった。2日ほど前に癖っ毛座席上に来た人はなにか強面だったが、ガムテープを貸してあげて問題が解決してありがとうと言ってきた時のあの優しい顔は忘れられない。(言葉がわからないので詳しくは状況把握できていないが、その方は昨晩パスポート関係でなにやら警察に引っかかり連行されていったので本当に強面と装い通り裏社会の人だったのかもしれない。)

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【安全面・衛生面】

そこで気になってくるのがやはり安全面だろう。ただその座席上の人のようなことは稀だと思う。この7泊8日で連行されていくのを実際見たのはそれ以外に1人だ。また基本的には乗る時に厳しいパスポート検査をしている。また乗ったあとも各自の座席で行う。あとは人によ 寄ると思うが癖っ毛の車両の車掌さんは本当によく働いてくれて頼もしい。他の車両の軍の若者がナンパかどうか知らないが若い女性に話しかけている時に、どうしてここにいるんだ戻りなさいという感じで追い戻していた。あまりロシアにおいて軍関係の人は好まれないのだろうか。そういうような印象を少し肌で感じる。ただ単に他車両の人間だっただけだからなのか、そこら辺も気になるところ。

もちろん盗難に関しても最低限自己管理が必要だろう。停車駅で下車するときなども持ち歩いたりなどだ。狙おうと思えば寝ているときに狙えるであろうが、今のところそういうことは一切ない。逆に三等車は仕切りなどなく皆の監視の目があるという点ではより安心なのかもしれない。ディーカさんが軍の若者に癖っ毛のコートを盗られないように座席の下に隠したように。ただ警察が来たときにiPhoneを離れて充電して寝ていたら起こされて、これは君のか?と二本指を目にあてながら戻された。恐らくちゃんと見ていないと盗まれちゃうぞということを言いたかったのではなかろうか。だから完全に盗難がないということもないのだろう。

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また衛生面に関しても車掌さんには頭が上がらない。1日に3.4回ほどだろうか定期的にこのように掃除をしてくださる。ソビエト社会主義が背景にあるのか与えられた仕事は確実にこなさんとばかりに本当に丁寧に座席の下や隅まで清掃をしてくれる。ゴミも定期的に集めるため、ゴミ箱にゴミが溜まって捨てられないということもない。

癖っ毛の席はシベリア鉄道列車の中で最安値だ。トイレ付近は値が下がる。臭いのためだろうか。一番格下の三等車でトイレ付近のため一番安い。基本的に一等、二等、三等でまず大きく値が分かれる。そして次に上か下かで差が出る。上の方が上り下りの苦労の分だろうか、安くなる。そして最後の根を決める要因はトイレ付近かだ。トイレ付近では席の上下は関係ない。付近6席は一律で値が落ちる。今回窓からの景色を見たいがために座席は下と決めていた。トイレ付近であったが上座席と同じ料金で安いためにこの席にした。ただ車掌さんの働きでまったく臭いなど気になることはなかった。むしろトイレ付近が安いのは臭いではなく、人の出入りが深夜でも激しいためにドアの開閉も多い。その音のためではないだろうか。あとはトイレを済ませた後流す音がそこそこ大きいので、これらドアの開閉や水洗時の音が安い要因かなあ、と。臭いは本当に気にならない。バイトなし無職の身にとっては少しでも旅費は抑えたい。この席を選んで安いしコンセント近いし本当によかった。給湯器まで遠いのが唯一難点だろうか。ヌードルにお湯を入れて、周りもひやひやしながら列車も揺れて慎重に席まで戻らないといけない。

 

【車内での過ごし方】

先ほどもお話した通り基本インターネットは使えないのでスマホをいじる人は少ない。本を読んだり、編み物をしたり思い思いに過ごしている。昨晩は隣の4人席はトランプをしていた。若い女性3人と青年1人におじさん1人で、初対面だろうが隔たりなくとても素敵な光景だった。音楽を聞いたり、アプリでゲームをしたりそこら辺は日本の車内と変わらないかもしれない。

ティーを飲んでほっとひと息ついたり、あと日本人としてはありえないだろう本当にぼーっとする人もいる。ただそこに座って、何をする訳でもなく本当にぼーっとしているのだ。忙しなくなにかしていないと落ち着かない働きアリな日本人には到底できっこない行為だと思う。典型的な日本人な癖っ毛もその様子を見ながら、何を今考え、何を思っているんだ!と不思議にならざるを得なかった。

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あとは圧倒的に寝る人が多いですかね。本当にすることはないですから、観光客でもない現地の人からしたら車窓からの景色も日常だろうし食べては寝て、また起きて食べては寝る。それがスタンダードな気がします。本当に”Karoushi”が代名詞となった日本人からしたら不思議な光景がここには広がっていると思います。

あと面白いのは共有する時間とプライベートな時間を阿吽の呼吸で切り替えながら自分のしたいように皆が過ごしている。

皆で雑談して冗談言い笑い合っていると思えば、すーっとまた寝始めたりまた1人は読書楽しんだり、編み物したり。トランプをしている途中でも1人抜けてベッドに戻り寝たり音楽を聞いたり。そしてまたいつしかすーっと集まっておしゃべりが始まる。面白いリズムが流れているなあと思います。

 

日本人の多くはやはり気を遣って自分を殺したりする人が多いと思います。先日の内定式も懇親会が終わってホテルに着き、二次会に行きたければ行けばいいし、疲れているなら部屋に戻ればいい。だらだらホテルの入り口で大所帯で固まっていました。送迎バスでホテルの入り口で降ろされて、癖っ毛は疲れていたのでそそくさと1人部屋に戻りました。次の日の朝食を買いに外へ出てコンビニから戻ってきてもまだ入り口で固まっていました。正直これからやっていけるのか不安になりました。そんなこともあってシベリア鉄道内のこの様子を伺ったりすることなく自由にそれぞれが時間と空間をうまく共有している感じがより印象づけられました。

 

これに関しては癖っ毛がせっかちだったり自分勝手過ぎるのかもしれません。またシベリア鉄道内の彼らも本当はすごく気を遣っているかもしれません。ただ特に日本人の癖っ毛にとってはこれらの光景は素敵に見えました。

 

だいたい気になるようなところはお話してきたと思います。車内販売や食堂含め食事に関しても日記の中で触れたと思います。イルクーツク過ぎた辺りから車内販売のおばちゃんが変わってしまい少々もの寂しさを感じております。あのおばちゃんの”ピロシキピロシキ、ソーシスカ…”のかけ声が好きでした。通り過ぎる度に日焼けしてるだの、お腹を突っついてきてあなたは細いんだから食べなさいとピロシキを勧めてきました。途中からはおばちゃんも変わると同時にピロシキの販売もなくなり別のものを売っていました。あとは最後に車掌室を紹介してシベリア鉄道編を終わります。

 

【車掌室】

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なんでも揃っているのが各車両の車掌室だ。いつだったかある駅のホームで買い物をしていると車掌さんがこっちへ来いという風な素振りをしてきた。案内されたのは車掌室だった。恐らく車掌室にもあるからホームで買うんじゃないと言いたいのだろう。軽食にペットボトルやティーパック含め飲み物がある。1度体験としてココアを購入したが一杯80~100円程で高かった。恐らくこれらは車掌さんの収入になるために勧めてきたのだろう。でも少々高かったが清掃などのチップも含むと考えればむしろ心地よかった。旅中多く飲む人は事前にスーパーでティーパックなどを買ったほうが確実に安上がりだ。車内販売も車掌室も車内から出る必要がない分割高な印象だ。また車掌室で買ったものでなく持参したティーを飲むときでも声をかければ無料でお洒落なグラスを貸してくれる。

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これらのグラス含めお土産もいくつか販売しているそうだ。

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恐らく座席の様子なんかはたくさんのブログでも紹介している。またシベリア鉄道 席 とでも画像検索すれば出てくると思うのでそちらを参考にしていただきたい。

 

いよいよ4時間後だ。モスクワに着く。

昔新幹線もなかった頃軽トラや鈍行での上京というのはこのような感じだったのだろうか。だんだんと街の様子が変わってくる。交通量や人通りも多くなってくる。まちもいくらかきらびやかだ。

モスクワはどんな街並みなのだろう。どんな人たちがいるのだろう。

自転車旅の開始は着実に近づいている。

ここからが旅の本番だ。居心地のよいシベリア鉄道での生活に別れを告げ、ヨーロッパの大地へと飛び出していかなければならない。

 

モスクワはもうすぐ(モスクワ)だ。

 

まだつまらないダジャレを言う余裕もある。正直車内では精神的に余裕もあったので自分以外にアンテナを張り色々享受できた。自転車旅が始まってもしっかりと吸収し共有できるよう心がけていきたい。

 

今回は幾分か他の記事より長くなってしまいました、お読みいただきありがとうございます。

ではでは失礼します。

歳の数だけ東欧・南欧諸国1万キロ自転車旅第5走:食堂車で優雅な朝ごはん。

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3日目の朝を迎えると昨晩知り合ったアチョムさんが食堂車で朝食を食べようと声をかけてきてくれた。エグザさんもこの日の深夜に下車するため記念に食べたいのだという。ちょうど癖っ毛も食堂車での食事は贅沢だがこれが最後とは言わないまでも次シベリア鉄道に乗るのはまただいぶ先だろうからせっかくの機会に行きたかったのだ。最後の夜にでも1人で行こうかなあと考えていたが、1人で贅沢を味わうのはなあなんてとも思っていた。彼らにご一緒させてもらうことにした。

 

朝9時から24時まで営業しているようだけどモスクワ時間なのか、電車が走っている地域の時間なのか定かではない。

席に座るとおばちゃんがメニューを持ってきた。メニューは英語表記もあるので安心だ。食堂車は飲酒OKなのでアルコール類のメニューもある。アチョムさんに伝統的なロシア料理を食べたい旨を伝えるとボルシチとブリヌイをお勧めされそちらを頼んだ。

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しばらくすると念願であったボルシチとのご対面。ボルシチピロシキの2つだけ日本を出る前からなんとなくロシア料理と聞いていて本場で食べるのを楽しみにしていた。(ボルシチウクライナが発祥のようだけど気にせず食す。笑)癖っ毛もどんな料理かはわからないが名前だけはなぜだか聞いたことがあった。そういう日本の方も少なくないのではないか。

一般的なロシア家庭ではスープは正餐の昼食でしか出ないそうというのは2つ前の記事でお話しした。メインとも言うべき存在でスープの中は具沢山が基本。こちらの食堂車のボルシチも具沢山であった。ジャガイモに玉ねぎに肉団子。魚はアレックスさん家で食べたがロシアに来てからお肉は食べていなかった。揺れる食堂車でスープも揺れてこぼれそうなくらい入っている。思わず3人でおっとっと。まずは揺れる中苦戦しつつもエグザさんと一緒に観光客2人写真にしっかり納めた。貴重なスープを全く朝からだなんてとそのあとしっかり噛み締めながらいただいた。ボルシチは世界三大スープなそうな。魅惑の赤紫色のスープ。ボルシチスメタナというサワークリームは欠かせない。これでぐっとコクも出て大変に美味である。カルシウムや鉄分を取ると言った面からも大切な存在だ。本当においしかった、頬がとろけて落ちてしまいそうだった。

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食堂車のブリヌイにはイクラが添えられていた。なんとも本当に贅沢な朝食である。この2つで約1000円、ロシアの物価を考えれば安くはない朝食だ。この日の昼間は怠らずブログしっかり書こうと誓い贅沢を堪能した。

 

どうでもいいぼやきだがここのブリヌイは2枚だった。アレックスさん家では娘さんかお母さんが焼いてくれて見るだけでお腹いっぱいになる程山のように何十枚もあった。あれはなんとも幸せなことだったんだなあ、と。ぱくぱく次から次へと頬張っていた自分が恥ずかしい。今更ながら本当に一般家庭に泊まらせていただいて、ほんの一部ながら日常を垣間見させてもらい貴重な体験をさせていただいたなあと思う。この辺りは20年前は治安が悪かったという集合住宅は味があった。もちろん今は学校が近所に3つあるほどだし大丈夫なのだろう。こう廃れていそうに見えても入口には目や指紋認証センサーがセキュリティは万全。

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少々話が脱線してしまいました。食堂車の話に戻ると、この日はまた天気も快晴のためこの大パノラマを眺めながらの朝食でした。人はこうした瞬間こそおいしいとか最高とか口にするのではなく、ぼんやり窓の外を眺めながら黙って頬張り嚙みしめるものなのかなあと黙々と食事をする3人を見て思った。いやあ本当に幸せなひとときでした。

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食堂車をあとにしてまた席に戻った。ロシアの地球の歩き方は電子版ではないのでとりあえずバルト三国辺りを読んだり、合間合間でブログを書いたりやることは基本同じだ。時々エグザさんが遊びにくる。彼女はインスタグラマーならぬウィーチャットラー(中国のSNS)で、車内できれいな景色などを撮ったりしてはよくあげて友達の反応を楽しみにしている。いくつか撮った車窓からの動画を1つにくっつけてムービーを作ってみたんだ、と見せにきたりした。

 

そんな前の日やこの日彼女と話している中での面白い感覚。

旅中に色々な人やものと触れ合う中で、外部がどんどん遠慮や許可なく自分の一部になっていく感覚。もちろん良い意味でだ。これが本当にたまらない。

 

彼女を例にとって言ってみよう。彼女は重慶出身の中国人女性だ。なにやら真っ赤な鍋の写真を見せてきた。彼女の地元ではかなり有名らしい。彼女いわく世界的にも有名なのに逆に知らないの?という風な表情だった。正直彼女の出身地が重慶ということはあとで調べてわかった。中国表記では重慶とは書かないし、発音も違うので全くわからなかった。ただグーグルの地図で示してくれた時、重慶の”重”という字は中国表記でも同じなので重慶のことかなあなんて思っていた。そして真っ赤な鍋も彼女の言う通り名物で重慶火鍋と日本はもちろん世界的に有名みたい。

途中の駅でヌードルを買い足した癖っ毛を見て、私の地元では麺も有名なのよと言ってきた。見せてきた写真はまたまた真っ赤なスープの麺料理だった。これもあとでわかったが重慶四川料理の本場の1つみたいで四川拉麵も名物の1つ。どうりであんだけ赤く辛そうな訳だ。四川料理自体は高校の最寄駅にありその頃からよく食べていたが、四川がどの辺りを指しているか全く知る由もなかった。恥ずかしい限りだ。

あとは重慶の旧市街の街並みが千と千尋の神隠しのモデルにもなったなんて話もしていた。宮崎駿監督も地元で見たことがあると言っていた。モデルではないようだが確かに似たような建造物があり、日本でも有名で多く観光客が足を運んでいるよう。

 

彼女と話をしているうちに今すぐにでも重慶に行きたくなった。あのおいしそうな火鍋に拉麵の写真を見たら誰でもそう思うことだろう。彼女と出会うことで自分の中で、世界史でほんのすこし触れた程度の中国の単なるいち都市重慶がただの街ではなくなっていた。

 

このような世の中の沢山の他人事が自分事になっていく感覚。旅だけではなく普段でも意識すれば得られる感覚かもしれないが、やはり旅はやめられそうにない。

これは日本での自転車旅でも感じたことだ。

 

正直旅に出る前、数年前の広島での豪雨や阿蘇での地震もそれは単なるひとつのニュースに過ぎなかった。どうでもいいなんてそこまで不幸者ではないが、なんか大変そうだなあと他人事だった。その後もバイトなり大学なりなにも変わらず自分の日常は動いていく。

 

ただ西日本旅を終えて埼玉に戻ってくると九州を台風が襲っていた。ちょうどニュースには大分県佐伯市が出ていた。何事もないかのように家事をする母親の横で、テレビをぼっーと眺める癖っ毛。佐伯市自体はその時海沿いではなく山を越えて宮崎に入ったので通ってはないが、標識で見たのを覚えていた。大丈夫かなあ、そんな風に思った。明らかに以前のような他人事ではなく自分事として、自分の一部としてそのニュースを捉えていた。だからと言ってなにか助けにいく訳でもアクションをする訳でもないから変わっていないと言えば変わっていないのかもしれない。その事になんの意味もないのかもしれない。

ただこの他人事が自分事になっていく感覚が好きだ。今のこの合理的であることや効率を求める現代社会でよく聞かれる”ではそのことにどんなメリットやデメリットがあるんですか?”という質問には悔しいけど今はうまく答えられない。ただこの辺りに旅をする醍醐味や大義がある気がする。この旅が終わる頃にはこの質問に答えられるようにぼんやりと考えながら歩みたい。ただこの感覚が好きで、それ故旅とは切りたくても当分いや一生縁を切れそうになさそうだなあ、なんて思った。

 

4月働き始める前までに重慶に行きたいなんてこれっぽっちも思ってもなかった。重慶なんて言葉を使ったのも聞いたのも何年ぶりだろう。でも今は4月までに重慶に観光しにいく確率がゼロではない。むしろ3.4割くらいあるのではないか。中国自体には行ってみたいとは思っていたしいいきっかけになった。

 

バイカル湖に関しても同じことが言える。

シベリア鉄道を乗るにあたって、事前に色々な観光サイトやブログを見てイルクーツク駅で降りて世界遺産バイカル湖というコースもあることを知った。自然は大好きだし行こうかとも思ったが今回はパスと行く気もさらさらなかった。特に頑固な癖っ毛は観光ガイドブックなどではびくともしない。でもエグザさんのバイカル湖でのこれからの旅程の話を聞いたり、アチョムさんがそこに住んでいると言うだけで一緒に降りたくなってきた。バイカル湖は単なる有名な観光スポットではなくなっていた。

 

他の面からも今回彼女と出会えてよかったと思う。正直大学で関わった中国人の女性たちは皆典型的な中国人女性というか本当に我が強く芯の太い方々で個人的には中国人に対して苦手な印象を持っていた。仲間としては頼もしいが、敵に回すと大変そう…という。特に始めが18歳の時だったのもあり圧倒された。でもエグザさんは本当物腰柔らかで優しい素敵な人だった。こんな天真爛漫な方がいるんだと。普通に考えれば当たり前のことだ。13億人もいれば多種多様で一括りにはできない。ただ出会った中国人がたまたまそういうタイプが多かったためになんとなく一括りにして苦手意識を持っていた。中国人に対するアレルギーが幾分かなくなった。

 

あとこの食堂車に行く時に他の車両で時刻表のようなものもちらっと見つけた。ひょっとするとと自分の車両に戻って探してみると車掌さんの部屋の横にあった。勝手に脳の中でロシア語関係はシャットダウンして情報処理していたのだろうか。3日目と若干気づくのが遅かったのもあるがこの時刻表のおかげで以後自分で車内での生活をコントロールできるようになった。この時刻表を見つけた半日後イルクーツクで2人が深夜3時に降りると聞いていた。まずイルクーツクの駅を時刻表で見つけ、車内のモスクワ時間と照らしながらどこに今自分がいるのか掴んだ。一丁前に次長く停まる駅に狙いを定めて、見事飲みものとヌードルも調達できた。生活に慣れてきて享受するだけでなく自分で動けるようになりさらに楽しくなってきた。

 

ローシャくんとの別れは悔やまれたので、2人には深夜だけど下車する時はお別れしたいから起こしてね、と言った。その夜は9時過ぎに寝たこともあり、起こされることなく自然に3時前に起きて無事彼らを見送ることができてよかった。彼らとの出会いに感謝です。

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シベリア鉄道生活もイルクーツク駅を経ていよいよ後半戦だ。

 

お読みいただきありがとうございます。

それでは失礼いたします。

 

歳の数だけ東欧・南欧諸国1万キロ自転車旅第4走:3枚曇りガラスの車窓から

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シベリア鉄道での生活2日目の朝を迎えた。

 

朝起きたらローシャの姿はなかった。昨日夜の停車駅で話していた時にあと二駅先に家がありそこで降りると言っていた。癖っ毛が寝ている間深夜に下車してしまったのだろう。ちゃんとお別れがしたかった。すごく寂しい朝だった。昨日途中乗ってきた賑やかな子供たちも朝にはいなかった。この日の朝の車内、レールを走りガタンゴトンと揺れる音だけが静かに響いていた。

 

前の日は夜中に寝て午前9時程に起きたがこの日は早朝に起きた。窓の外を見ると湖や川が完全にではないが凍っていた。10月だが朝方など冷える時はもう凍る時期なのか。ちらほら雪があるところもある。この時期でこの状態でこの先自転車大丈夫かなあ、なんてぼーっと眺めていた。

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途中Amazar駅ではこのように水を補給している様子を見た。寒い中若い女性が重そうなフタを開け、管を移動させ補給していた。恐らく飲料用の水ではなくトイレの洗面所の水だが、おかげで水不足に困ることなくいつでも食器を洗ったり、洗いたい時に顔を洗ったりできる。昨日少し水の勢いが弱いかなあと感じたことはあったが、こうやって定期的に駅で補充しているおかげで無くなることはなく使えているみたいだ。

 

あと基本的にインターネットや電波に関して、もちろんキャリアによる違いはあるだろうが駅の前後くらいでしか繋がらない。そんなでブログを更新するのもちょいと一苦労だ。まずオフラインで記事を下書きする。次に駅で電波がつながると画像をアップロードする。アップロード速度も3G回線で速くはないので停車時間が短かったりして、一度に全部貼れないと次の駅までお預け。そしてなんとか全部下書きと画像を終えたら、改めて全体を確認して次の駅でやっと更新できる。と、そんなことはどうでもいいのだ。その電波事情のため少し長く停まる駅に着くと皆家族や恋人だろうか電話をかけ始める。その光景が好きだ。もうすぐ着くよ、愛しているよ、なんて言っているのだろう。

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もう1つ印象的な光景がありました。Amazar駅は20分程止まっていて多く乗客が降りる。駅に着くとホームにはピロシキやらを売る即興の露店がちらほらありました。しばらくして発車時刻がせまり車掌さんが声をかけ乗客が戻ります。すると露店のおばちゃん達は片付けを始めました。電車が発車するときには重そうなカートを押して街へすたすたと戻っていきました。その背中がとても印象的でした。その背中はとても切なく見えました。1日に何本この駅に停まるのでしょうか。これが主な生計なのかなあ、なんてお節介ですがそんな余計なことを考えておりました。この駅では外に出ず中から眺めているだけだったので、なにか買えばよかったなあ、なんて。

 

この町やおばちゃん達もそうですが、シベリア鉄道に乗っているといくつもの小さな村や町を通り過ぎます。古びたトタン屋根の家屋。暗闇の中の小さな電球の明かり。彼らはどんな生活をしているのだろう。大変気になりました。牛や羊なんかがいる地域もありましたが、それらもなく野菜も採れるんだろうかというところもありました。なにを食べ、どんなことを考えて生きているのか。シベリア鉄道途中下車の旅なんて面白そうだなあ。もちろんホテルなんてのもないので、かなり高度な語学力と交渉力が必要だろうなあ。

 

そんなことを考えながらぼーっと窓の外を見ていると1人の女性が話しかけてきた。

”Are you a Chinese?”

僕はごめんね、日本人なんだと答えた。そこからどこへ行くのとか軽く挨拶代わりに話していた。自然に英語を話していたけど、ロシアに来てから英語を話せる貴重な存在が現れた。もちろん質問からもわかるように彼女は中国人女性でロシア人ではない。でも久々におしゃべりできる人が現れて嬉しかった。

 

彼女の招待を受けて自分の席を離れて、彼女の4人席へお邪魔した。そこにはロシア人男性で英語と中国語を話せる人がいた。彼は中国に4年間留学していたそうで本当に流暢だ。その女性とも中国語で会話をしている。

彼が彼女に”奥にアジア人がいるぞ。”と教えたみたいでそれを聞いた彼女が癖っ毛に話しかけてきた。残念ながら中国人ではなかったが、アジア人という推測はお見事だ。

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この男性はイチョムさん、来週で27歳。女性はLiu Tingさん(英名はAgatha:エグザ)で来月26歳になるそうだ。お互いにお菓子を交換しながら談笑をしていた。アレックスさんからもらったチョコを差し出す。大した話はしていない。お互い旅の予定とか気になることを質問しあいながらの雑談。

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癖っ毛の気になっていた質問をイチョムさんにぶつけてみた。

”みんなウォッカは飲まないの?”

シベリア鉄道の光景として、ウォッカを飲むロシア人を想像していた。聞く話だったりどこかのブログでも見たような。でも今は食堂車以外では禁酒なのか飲む姿は見ない。食堂車のメニューにはアルコール類があった。三等車が禁酒なのだろうか。定かではない。イチョムさんは笑ってみんながそういう訳ではないよ、と。同じ質問を癖っ毛がする前にエグザさんもしていたみたいで、どこでもみんな同じ質問をするだよねと笑っていた。缶ビールを持って車内を歩く人は数名見ましたが周りに飲んでいるような人はおりません。酒豪ロシアを見ることはシベリア鉄道内ではなさそうです。少し一緒にウォッカをふっかけたいなあと楽しみにしていたので残念です。

 

エグザさんは写真が好きなようで撮った写真を見せながら旅の話をしてくれました。今回はお仕事のお休みを取ってロシアへ10日間ほど1人旅行。ウラジオストクでは2泊したようで癖っ毛がばたばた乗車手続きやらしている間にのんびり観光していたようです。癖っ毛が見たウラジオストクの街は日が沈んだ後でした。彼女の写真を見て昼の街の風景や人々など素敵なものばかりで、悔しさと共にまたゆっくり行きたいなあと。中国からもシベリア鉄道路線はあるのでなぜそちらを使わないのか聞いてみたら、中国の映画でウラジオストクが舞台だかワンシーンで出てきただかで来てみたかったのでこっちから乗っているそう。その映画に出てきたという灯台も実際に足を運んだよう、素敵でした。うらやましいなあ。

 

この日の夕飯も車内販売のピロシキで済ませた。初日から気になってはいたけどパンやヌードルも既に買っていたのでいつもスルーしていた。毎回言葉はわからないが買わないかって誘ってきて断るのが苦しかった。この日は買ってみることにした。味のことを聞かれたがわからないので、ジェスチャーで違う種類をなんとか購入した。実際とブログの更新には時間的なギャップがあって今のところ基本的に夜はピロシキで済ませている。でも飽きることはない。ウィンナーや茸にジャガイモなどいくつか種類もあるので自分なりにピロシキ生活を楽しんでいる。

先日停車駅で購入したときと同様2つで100ルーブルだったので大きさからも安くはない。お釣りもあったみたいだがチップね、という感じでおばちゃんの懐に入った。日本でもインドネシアでもチップ文化圏には行ったことないので新鮮な感覚だ。昨日のとは異なり食堂車で作っているためまだ温かくてもちもち。勝手におばちゃんたちの愛情を感じながらおいしくいただいた。

 

そのあともイチョムさんとエグザさんと談笑を楽しんだ。消灯の時間になっておやすみという形でそれぞれの寝床に戻った。2人とも明日の深夜イルクーツクで降りてしまうそう。イチョムさんはイルクーツクに住んでいる。エグザさんは今回の旅のメインが世界遺産バイカル湖観光でそのためにイルクーツクで降りてしまう。シベリア鉄道旅行においてイルクーツクで途中下車してバイカル湖っていうのは割とメインコースなのだけど、今回は自転車の大荷物があるために断念した。せっかくおしゃべりできる人ができたのに寂しいものです。残りの時間を楽しもう。

 

あと2日間乗ってみて感じたこととしては写真や動画がうまく撮れない問題です。

世界の車窓からの映像を浮かべる人も多いと思いますがやはりあれはテレビ番組で金銭的な面でもこちらが払っていくらか協力を得ているのでしょう。とりあえず癖っ毛のいる三等では防寒のためか窓ガラスは3枚です。また綺麗とは言えません。手前の窓は仮に自分で拭いたとしたも真ん中や外は限界があります。そのため写真や動画を撮ろうと試みても反射したり、なんとなく曇った感じで共有するに値するほどのものは撮れません。窓も開けられるわけではありません。窓の開閉に関しては二等、一等に関してはわからないので明言は避けますが三等は少なからず開けることができませんので世界の車窓からのような映像は無理そうです。写真としてはたいしたことないけど、せっかくの思い出にこのままフォルダに残そうか悩んでおります。

ウラジオストクからモスクワまで約9500kmを7泊8日で単純計算で1日に約1000km強と四国1周分を走っています。走行速度もそこそこあり、その分揺れもあります。写真や動画も振れのためにうまくピントが合わなかったりなかなか上手くいきません。

カメラ好きですしぜひこの絶景を納めてどや顔で共有したいのにできないこのもどかしさに苦しめられております。

大変素敵な光景なのです。朝方水温と気温の温度差で発生する川霧。朝焼けや夕焼けで赤く染まる白樺。また地域によってはまだ本格的ではないですが霜や雪など雪化粧した木々も見られます。一面の青空と大平原。夕暮れ時には気温差のためか、低い霧が大地を覆います。地平線の向こうから大きな太陽が顔を出してきて、小さな村々を照らす朝の光景も圧巻でした。寝る時ふと窓の外を見上げたら満点の星空。もちろん曇りの日もあるので毎日毎時これらの光景を拝める訳ではありません。

確かに目の前に素晴らしい景色が広がっているのにこの共有できない辛さ。大変無責任ですが実際に乗って見てくださいとしか言えない状況です。大変申し訳ございません。

また癖っ毛の乗っている6号車は全車両の真ん中であり、世界の車窓からの映像で有名なカーブ時もあまり迫力がありません。またなぜだかカーブのときは決まって貨物車とすれ違うことも多いです…。お、カーブ来る来ると胸を躍らせて窓に食いつくと途端に大きな貨物車が轟音と共に目の前を遮ります…。

 

いやあぜひ皆さんにも本当に体験してほしいなあ、なんてぼやいて気持ち程度に日の出の写真を貼って今回の記事を終わります。

 

お読みいただきありがとうございました。

ではでは失礼いたします。

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歳の数だけ東欧・南欧諸国1万キロ自転車旅第3走:シベリア鉄道鉄道初日。

 

旅のタイトル決めに苦戦している癖っ毛です。

歳の数だけ欧州諸国を自転車で巡る旅。

うーん、少し長い。

歳の数だけ欧州諸国自転車旅。

欧州諸国だと基本的に皆さんドイツ、フランスなど中欧や西欧をイメージしてしまいます。癖っ毛の今回の旅はジョージアウクライナなどあまり人様が好んで行かないところを旅して経験を共有することに大なり小なり大義があると思ってます。そのためこのタイトルでは伝えたいものが伝わらない。

歳の数だけ、というのはキャッチーだし外したくはない…。

 

歳の数だけ東欧・南欧諸国1万キロ自転車旅。

 

うん悪くはないかなあ、と。諸国を入れないと何を歳の数だけするのかイメージしにくいので少し字数増えてしまいますが、これにて旅のタイトル決定!ある程度のインパクトもある、よし。(あれ、どこからか1万キロがやってきた。)

 

いよいよ始まったシベリア鉄道での生活。

ばたばたな乗車から就寝して迎える初めての朝。正直始めはなにもかも手探りで周りの様子を見ながらでした。

乗車してすぐ改めて座席とパスポート、チケットの確認が終わると車掌さんからビニールに閉じられた布類を手渡されました。タオルが入っていたのでこれで顔やら身体を拭くのかなあ、なんて。

 

この日起きてから周りを見て気づいたんですがどうやら布団、敷物と枕のシーツだったようです。こういう旅をする人間ですしあまりそういうのは気にならないタイプなのでいいのですが、自分が良くても他の人も利用するものなので遅ればせながらシーツを付けました。

 

向かいの上下4人席の女性乗客は、シーツを使ってうまく周りから見えないようにして恐らくお着替えなんかをしてました。皆さんそれぞれ工夫し生活しています。ご飯のことやらシャワーのことやらまだまだ気になる点はありました。

 

お腹が鳴ったので朝食をとることにしました。乗車前に買っていたパンとジャムにアレックスさんから頂いた蜂蜜で済ませました。電車内では座りっきりまた寝たきりなので最低限の食事で残り日数も考えて1回2枚で済ませます。

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癖っ毛はキャンプ用品を持ってきていたので自分のを使いましたが、車掌さんに言えばコップやら貸してくれます。また食事の後はトイレの水道でこのように洗います。

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途中停車駅では外の空気を吸ったり、車内は全面禁煙のために喫煙者はホームに降りて一服します。基本的に停車時間は1.2分ですが途中15分程と長く停車する駅の時に皆さん外に出て行きます。1.2分の停車駅は本当にその駅で乗り降りする人だけです。

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午後1時過ぎになりました。基本的に1週間の朝食用でパンを購入しました。昼の調達をしなければいけません。どうしようかなあ、なんて考えておりましたら、ある駅に着いて皆が降りていきました。なんとなくこれは少々長く停まる駅なのではないかと。15分程停車する駅はここまでに2駅程ありましたが、いつ出発するがわからず臆病者の癖っ毛は車内から外の皆の様子を観察するのみでした。典型的な日本人であります癖っ毛は、この駅で皆が降りていくのを見て一緒に勇気を出してホームに降りて見ました。

でもいつ発車するのかわからない。どうしたものか、とうろちょろしていると時刻表を発見しました。スマホに登録したモスクワ時間と照らし合わせながら自分が今どこの駅に停まっているのか、推測してました。どうやら推理が正しければこの駅で約1時間停車する。ただ下手に動いて発車なんて洒落になりませんから近くにいた乗客の方に確認してみました。もちろん癖っ毛はロシア語はできません。おじさんも英語はできない様子。手で必死に”この電車は(約1時間後モスクワ時間で)07:30に発車しますか?”と聞きました。どうやらそのような感じです。駅の待合室まで行き改めて電光掲示板で確認しました。大丈夫そうです。

 

早速ビタミンの不足のためかニキビができてしまったので、野菜などを取りたくスーパーマーケットで調達をしたかった癖っ毛。車内販売ではピロシキやお菓子などで野菜や果物などビタミン系の確保は難しそうです。これから乗る人やこの駅で調達と既に買い物を済ませ大きな袋を抱えてホームに戻る人たちの流れをたどりスーパーマーケットに無事着きました。

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野菜や果物も割高な印象です。ジャガイモなどロシアで生産されているものは特に通常かまた安めですが、輸入商品のためかトマトやバナナなど日本と比べると高いです。そのためお惣菜コーナーで効率よく調達することにしました。マッシュールームのサラダやら美味しそうなものが沢山。まだ贅沢時ではないと一番安くかつちゃんと野菜が沢山入ったものを選びました。指で指してどのお惣菜か伝え、そのあとは容器のサイズを選びます。無事に野菜確保しました。これで日本円で250円程度なので安くはないですが、うまく食べれば3.4食分はあるので一食60円とすれば買ってもよいでしょう。体調を崩してはしょうがないので、身体とお財布とよく相談しながらのお買い物です。

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あとはパンしか買っていなかったので他に主食をと2.3日分のヌードルを購入しました。

 

ここKhabarovskは他の停車駅と比べても少し大きいです。ウラジオストクで同じ車両に乗った韓国人のママ友子供集団もここで下車したのでなにか観光するところでもあるのでしょうか。

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買い物を済ませて車内に戻ると周りの人が入れ替わっていました。恐らくシベリア鉄道をずっと通しで乗る人はいません。観光客でも湖観光がてらイルクーツク辺りで一度降ります。

ウラジオストクからモスクワまで約9500kmで日本で言えば本州、四国、九州をぐるっと海沿いに1周する程の距離はあります。青森を出て1週間、本州、四国そして九州とぐるっと降りずまた青森まで電車に揺られていると考えると恐ろしいものです。今回は自転車の荷物もあり大所帯のためイルクーツク途中下車も考えましたがパスしました。

特に癖っ毛が今回利用している三等車は観光目的でなく、移動目的で現地の方々が利用するのが主のため入れ替わりは激しいです。

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早速調達したお惣菜とヌードルでお昼を済ませました。お惣菜はマカロニサラダ風味で、ソーセージにイモに食べ応えも十分です。ヌードルも一食分60円で少々長くお湯を吸わせ麺を伸ばして量も確保しコスパバッチグーです。

大したことはないけど車内の人との交流も生まれてきました。パンを切るためにナイフを貸してくれるかい、と。お昼に貸すと夜には阿吽の呼吸ですっかりお馴染みの景色になりました。

 

面白いこともありました。ロシア軍の若者が癖っ毛のコートを欲しい、売ってくれと言ってきました。見る目だけは褒めたいです。元々セーリング用で防風防水で中はユニクロのエアリズム1枚でもロシアの寒さの中で十分です。

プーマのアウトレットで買ったもので1万円しました。100ドルしたよ、と伝えましたがじゃあ1000ルーブル(約2000円)でと言ってきました。日本では暑過ぎるくらいでなかなか着る機会もなく5回も着ておらず、まだまだ新しいのでさすがに2000円でわとお断りしました。しばらく粘っていましたが癖っ毛はノーの一点張り。

割と売ることに対しては抵抗はありません。仮に無事に自転車でチェコまで着いたとして帰りの航空券がなかったら、自転車やこの服を売って航空券代稼ごうという考えもあります。ただまだバルト三国、またオーストリアチェコは1月に着く予定でここで防寒具を手離すのはさすがに危険過ぎるので諦めてもらいました。立派なコート、こんな無職が持っているより軍の若者にあげた方がいいのかもわかりませんが、今回ばかりは自分の都合を優先です。申し訳ないです。

 

彼らが去った後、ナイフを貸していたディーカさん(ロシア人中年女性)が寝ている間に盗まれることを懸念したのか隠しなさいと言ってきました。始め何をしたいのか、ロシア語で理解しあぐねていると癖っ毛のコートをイスの下の奥にいれ、取り出しにくいようにバッグで完全な砦を作り上げてしまいました。とても満足げな様子です。大変有難いのですが、以後コートを取り出すのが面倒になり、停車駅でホームに降りる際などコートなしでシャツ1枚で降りる始末となりました。笑

 

まさかコートを売ってくれとは想像もしていませんでした。北国を抜けて、ギリシャなど暖かい国に行くまでは用心しなくてはいけなさそうですね。自転車で走るときは暑くなるので恐らく着ないため、自転車の後ろカゴにでも紐でくくりつけて置いておこうと思いましたが自転車を置いて観光している時に盗まれることもなくはなさそうですね。こればっかりは何も予想できないのでしょうがないと言えばしょうがない。対策のしようもないなあ。

 

そんなこともありながら地球の歩き方でも見て観光スポットなどの下調べをして時間を潰してふと外を見るとすっかり日は沈んでました。

 

この日の夕食は停車駅でピロシキを買いそれで済ませました。ピロシキ1つで100円程。駅価格で少し高いのかなあ。勝手にもう少し安いかななんて思っていました。でも夕食1回100円で済ませられると考えると安上がりです。値段の相場もわからないし、ロシア語で値段を言われてもわからない。とりあえず2つ頼んで150ルーブル出すと、100ルーブルだけ取っていきました。これは多すぎよ、と言わんばかりにピロシキ売りのおばちゃんも呆れたように笑っていました。最低限お腹を満たす程度に1つ食べて、沢山食べてもしょうがないのでもう1つは次の日に取っておきます。

 

車内に戻るとナイフを貸していた隣4人組の中の男の子が話しかけてきました。ローシャという名で17歳で学生さん。本当にロシア人は男性も女性も大人っぽく見える。ここ1日ナイフを貸す仲になりましたが、昼間は貸してくれる?ありがとう。どういたしまして程度のやり取りしかしていませんでした。

 

彼も英語はほぼほぼできませんでしたが、グーグル翻訳を使って沢山質問したりしてくれました。”(ディーカさん含め)僕たちは君に罪を犯さない。友達だ。”などグーグルの翻訳なので多少可笑しな日本語でしたが伝えたいことは伝わりました。ずっと隣の4.5人組は家族かなにかか思っていましたがただの乗客のようです。初めて知り合ったただの乗客同士が世話をし食事を共にして冗談を言い合ったりして笑い合う、なんとも不思議な列車のように思う。日本でも同じ形態の列車があれば同じ光景になるだろうか。

日本であったら隣の人いびきうるさいんだけどとか、おじさんめっちゃ話しかけてくるとかキモいとかツイッターやラインで友達に愚痴るのだろうか。

彼らも同じことを考えているのかもしれない。言葉もわからないし僕には全くわからない。少なくとも癖っ毛の目には他人と隔りなく世間話や冗談を言い温かい素敵な光景に映っている。

 

あと一期一会とはもう時代遅れの言葉なのだろうか。ローシャくんとはインスタグラムでもワッツアップでも繋がった。全世界規模のSNSが存在する今、一生で一度しか会わない接触しないなど逆に不可能なのだろうか。良いのか悪いのかなんて全くわからない。ただデジタルとアナログの狭間の時代に生まれた癖っ毛にとってはなんとも不思議な感覚であります。あとでローシャくんのインスタを見たらこの写真を早速あげてくれていました。なにかで見たのか、美しいと興味がある様子でした。いつか来れる日がくるといいなあ。

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シベリア鉄道1日目は手探りな中でなんとなく生活の大枠も掴めてきました。グーグル翻訳を介してだけど話し相手もでき出会いがありました。

 

癖っ毛の4人席の向かいにある2人上下席は布団を片付けないとテーブルを出せない。昼間邪魔だから布団を上にあげたら片付けられていてどこかに行ってしまった。どうしようなんて困っていた。少し話すようになってからローシャくんとディーカさんが気にかけてくれて聞いてきた。おかげでなんとか布団も確保できて、安心して眠れる。

 

寝る前にふと開いたグーグルマップ。

モスクワまではまだまだです。

歳の数だけ東欧・南欧諸国1万キロ自転車旅第2走:7泊8日のシベリア鉄道生活始まりました。

 

2日目の朝を迎えました。また車でウラジオストク駅まで連れて行ってくれるそうでアレックスさんの用事が終わるお昼過ぎまでこの日はお部屋でお留守番でした。

ザヴォツコイからウラジオストクの街まで60km程なので自分で行けないこともないですが、まだロシアルーブルも持っていないし途中でお腹が空いても物資調達もできません。SIMも手に入れてないので地図も使えません。大人しくお言葉に甘えることにしました。

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外の寒さと枯れた木々がひとり旅の癖っ毛の心情を語っているようで妙に美しく、なにか親近感を覚え部屋の窓から思わず写真を撮りました。昨晩着いた時は夜で周りの景色はわかりませんでした。近くには学校があって敷地内の遊具で遊ぶ子供たち。犬の散歩をする人。仕事へ向かう人。彼らが何をするのか、何を考えているのか、見ていて飽きません。

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しばらくするとアレックスさんのお母さんが朝ご飯できたよ、ということで食卓へ。ロシアの薄いパンケーキブリヌイの中にはサワークリームでしょうか。それにイカの塩辛のようなものに、ゆで卵、温かいティーとのんびりとした幸せな朝でした。

 

朝ご飯を済ませたあとはシャワーを浴びました。もちろんロシア語で書かれているのでどれがシャンプーでボディーソープかわかりません。英語表記も少しはあるかと思ったら全くないので手も足も出ません。なんとなく香り、泡立ちや質感で判断しました。

 

さっぱりしてまたテレビを見たり、お昼まで今後の計画を立てたりしていました。1時くらいになると娘さんが”ディナーできたよ”と言ってきました。英語は得意ではなさそうなのでランチと間違えたのかなと思いました。食卓へ行くとスープにブリヌイ、サーモンのムニエルと沢山ありました。

気になったので調べてみましたがロシアは電気がない頃からの習慣で昼食が正餐のようです。Dinnerは日本ではディナーと和製英語のようになり夕飯と訳されますが本来正餐という意味があります。よく癖っ毛もデートの時など夕飯で検索してもお洒落なお店が出てこなさそうで 渋谷 ディナー なんて調べたりしてました。ロシアではスープは貴重で昼食の正餐にしかでないそうです。食べた後に調べて知りました。もっと噛み締めて頂けばよかったです。スープのためなら結婚できるなんてことも昔は言ったみたいです。

寝たきりでまだ自転車旅も始まっていませんし、なにも消費してないので朝食どころか昨晩の夕食すら消化されていない状態でお腹が苦しかったです。贅沢な悩みです。ありがたくいただきました。お母さん手作りのラズベリージャムも美味しかった。

 

また昨晩の夕食で出た穀物のようなものがこの昼食にもあったのでこれはロシアの主食に違いない。調べてみたらビンゴ、グレーチカと言い蕎麦の実を茹でたものでパンと同様ロシアの主食みたいです。昨晩からなにが主食かなあなんて探偵ごっこをしながら食事を楽しんでおりました。にんまり満足げな癖っ毛です。

 

そのあと娘さんが英語の練習がしたいから付き合って、と。英語で部屋の紹介をしてくれました。まだまだ苦手そうでした。一方的に準備した文は大丈夫でしたが質問をすると困ったようでした。でも昼食を食べる時も”今日学校はないの?”という質問に対して部屋に戻って恐らく携帯で翻訳アプリを使っていたのか、しばらくして戻ってきて”今日は休みなんだ”と英語で答えてくれました。同じように携帯を使いながら裏で一生懸命準備していたのかなあなんて考えるととても愛らしく幸せな時間でした。

 

木曜日で学校休みというのは面白いので、毎週木曜日が休みなの?とか沢山質問したいことはありましたがこれで英語が嫌いになっても困りますし、ロシア語を勉強してこなかった癖っ毛がいけません。

後々わかりましたが多分娘さんは小学生でした。大人っぽいので中学生くらいかと思っていました。癖っ毛が小学生の時なんてHelloもAppleも知らなかったんじゃないかな。 

 

そんな感じで午前中を過ごしていたらアレックスさんが帰宅しました。またナンバープレートなしのプリウスに乗り込みウラジオストクを目指しました。

 

途中サーキットのようなところに寄り、日本のドリフトレーサーがここで練習しているんだなんてことを言っていました。

ウラジオストクまでの道は長崎や佐世保を思い起こさせました。街の近くはアップダウンが激しそうで、これもあってか自転車でウラジオストクまで行くということに反対していたのでしょうか。正直お昼までにはウラジオストクに着いて観光もしたくアレックスさんの帰宅を待たずして自転車で行くことも交渉してみましたが、車で連れて行くから待っていなさいと言われていました。

 

アレックスさんが通っていた大学も通り過ぎました。日本と異なるのはこの地域だけに言えることかもわかりませんが圧倒的な車社会であることです。大学周辺の道路沿いにはずらーっと並ぶ路上駐車の車。大学の敷地内にはイオンデパートの立体駐車場並みの規模の駐車場がありました。電車は大きな町と町との間だけで、ちょうどウラジオストク周辺は坂も多いので自転車も見当たりません。車かバスが主な移動手段のようです。

途中寄ったガソリンスタンドでもレギュラーガソリンが安かったです。1リットル40ルーブルでしたので約80円程度でした。今回どこの国でも確保できるようにキャンプ用の燃料はカセットガスなどではなくレギュラーガソリン対応のものを購入したのでとりあえずロシアは安そうでよかったです。と言うのも石油産出量はアメリカ、サウジアラビアに次ぐ世界第3位でございました。ガソリンの安さも納得です。

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日露戦争時に使っていたという砲台跡も寄りました。橋の向こう側には同じのがあり、レプリカかどうかそちらはまだ銃が装備されていました。つい100年前まで戦争をしていた仲が今は仲良くドライブをしている。すごく不思議な感覚です。1898年に建てたとあったのでまさに日露戦争を見据えて建てたのでしょうか。

 

貨物関係で働くおじさんの職場に寄ってなにやら預け荷物を渡していました。すると、”彼と一緒に貨物列車でモスクワに行くかい?3週間くらいかな。”と言われました。真面目に受け取って”3週間は少し長いかな、ビザも切れてしまう。”と返したら冗談だったようで”僕にとっては少しじゃなくてとても長いかなあ”なんて笑って返されました。

 

そんなこんなで色々寄り道しながらウラジオストクの街へやってきました。

 

駅でお別れかと思っていましたがしっかり電車に乗れるようにサポートしてくれました。インターネットで予約はできるものの、その予約書を印刷しただけでは乗れません。チケットカウンターでチケットに替えてくれました。そのあと駅待合室の電光掲示板の見方を教えてくれました。

一番左の列車番号にホームの番号と大変助かりました。大体駅内の案内を終えて、他にやることはあるかいと言われてロシアルーブルへの両替とSIMカードの旨を伝えるとまたまた一緒にやってくれる様子。

駅正面口を出て左に200m程歩いたところにある銀行で両替をしました。正直1人であればレートなどを気にして色々回りたかったですがアレックスさんもいるのでここで両替しました。でも2万円で10040ルーブルと変えられたので、2.44のレートだった成田と比べればはるかによかったです。ほぼ正規レートでした。

 

次に駅前のMTCというロシア携帯キャリアにSIMカードを購入しに行きました。

インターネットのみ1週間で7GBや1ヶ月で15GB(1週間で3.75GB)やまた電話も含むものなどいくつかプランがありました。自分は2週間しかロシアに滞在しないので1ヶ月分は無駄になってしまうので、インターネットのみ1週間7GBをとりあえず購入しました。それで500ルーブルでした。

ここで問題になったのがSIMを入れてみましたがアクティベートをする必要があるらしく、iTunesWiFiに繋がなければいけません。正直両替やSIMの購入も1人でできなくはないので駅の案内が終わってお別れしようと思っていましたが、アレックスさんがついていてよかったと思いました。アレックスのiPhoneでデザリングしてWiFiに接続できてアクティベートをすることができました。auキャリアのiPhoneで不安はありましたが無事ロシア回線でつなぐことができました。本当に本当に助かりました。少し前にお別れして1人で購入していたらどうしていたんだろう。

 

やっと必要最低限なことが終わり、お別れすべく自転車を下ろしに車に戻ると娘さんの機嫌が悪そうでした。恐らく治安が良くはないであろう街で小学生が車の仲で何時間も待たされる。相当不安だったと思います。本当に申し訳なく、猛省しました。あとは自転車と荷物を駅に持っていくだけだからと、なんとかアレックスさんが娘さんをなだめていました。

自転車と荷物を駅まで運んで、アレックスさんの案内で一時荷物預かり所に預けました。本当に自分1人では一時荷物預かり所があることは知ることもなかったでしょう。日本人のシベリア鉄道ブログでも見たことはありません。駅のホームの隅っこで英語で案内がある訳でもありません。気づくことはなかったでしょう。2つで350ルーブル程でした。このおかげでこのあと自転車などを持ち歩いたり、どっかに置いたりして盗まれるなどの負担や心配なくスーパーで食料調達したり、少しではありますが街を散策できました。

 

アレックスさんがいなかったらどうしていたんだろう。5.6時間も大きな荷物のために駅の待合室で大人しくしていただろうか。

 

荷物を預けて、もう一度乗車の手順を確認してではスーパーに買い出しいくよと言ってアレックスとお別れしました。娘さんを待たせているのもあり、ばたばたしたあっさりした別れでした。

 

スーパーに入り、物色していると先ほど別れたばかりのアレックスさんが現れました。娘さんに促されたのか思い出したように写真を撮ろうと。すぐうろちょろしてしまう癖っ毛がまだスーパーにいてよかったです。

早速スーパーの外へ出て、アレックスさんと娘さんと写真を撮りました。改めてしっかりとお別れできました。最後は娘さんの表情も少し明るくなりよかったです。本当に本当にお世話になりました。初日でこんなになって、この旅でありがとうを何万回言えばいいのだろうと。

ここら辺で有名なチョコレートとアレックスさん家の蜂蜜も餞別にもらいました。

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お別れしたあとはとりあえずスーパーは夜23時までやっているみたいであとで調達できそうなので暗く危なくなるまで街の散策をして時間を潰しました。

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無料の公衆トイレもありましたが、この公衆トイレや駅構内のトイレ含め有料が基本的なようです。この公衆トイレは一番左の部屋に人がいて恐らくその人にトイレ入る前後でお金を払います。駅のトイレでは出てきた人が真ん中の警備員さんに支払っていました。またこの外の公衆トイレは詳しい時間はわかりませんが夜暗くなって戻ってきたら鍵がかけられ閉まっていました。

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建築様式など詳しくわかりませんが、やはり欧米の街並みは黄色人種としてはテンションがあがりますね。どこを切り取っても画になり、カメラが追いつきません。欧米初心者丸出しですが、1ヶ月もすると慣れてカメラを取り出さなくなってしまうのでしょうか。悲しいものです。

 

事前調べも特にしていなかったり、暗くなって来たので2時間程歩いて駅方面へ戻りました。

 

スーパーであまり長期の旅で序盤に贅沢はしていられないので食パンとジャム、水だけを買いました。物価を見るためにスーパーの中をぶらぶらしていました。日本とあまり変わらないような印象です。菓子パンは50~100円前後でパン14枚薄めで約60円だったり若干安いですが、果物や野菜ジュースは160円前後で特に安いという印象は受けませんでした。レッドブルも日本のコンビニの方が安かったです。

 

あとは駅で大人しくすることにしました。駅もむしろ美術館というような感じで特に正面口入って上の画は特に綺麗でした。全てはわかりませんが、モスクワの教会など有名どころが描かれているようでした。

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電光掲示板で自分の乗る電車のホームが決まると荷物を取りに行き移動を開始しました。1番ホームであれば荷物預け所の前なのでよかったのですが、3番のため陸橋を上がって向こう側に行かなければなりません。アレックスさんに1番だったらいいねえ、なんて言われていたのですがここは1人で運ぶしかありません。警備員の服装をした人に手伝っている奥様もいらっしゃいましたが当然チップも必要だろうし自力で頑張りました。

まずは自転車を運んで、ホームに置いてこの短時間で盗まれまいと小走りでまた預け所に戻りラッピングしたバッグ類を取りまたせっせと運びました。外が寒いくらい涼しいのでちょうどよかったです。それから小一時間半ほどホームで待ちぼうけ。

準備が整って乗車が始まりました。結構1人1人時間を要しています。一番初めに来ましたが一気に人が来て戦闘不能、後ろで待機していました。

やっと皆が入ったあとで癖っ毛の乗車チェックが始まりました。ここで問題発生。

癖っ毛のパスポートとチケットの確認を終え、自転車を入れようとすると明らかに怪訝な顔を示す車掌さん。元々アレックスさんがチケットカウンターでやりとりしていたのを見ていたので何となくわかりました。

自転車は別に荷物用のチケットが必要で別の貨物用のスペースに入れるようです。多分大丈夫だけど何か言われたら荷物用のチケットを買うように言われておりました。それもあって意図は理解できました。

自分が外国人であるために車掌さんが電車に戻り英語を話せるロシア人の方を連れてきました。少し大事になってしまいました。奇跡的に乗客の中に日本語の通訳者というロシア人女性がいてくれて丁寧に対応してくれました。車掌さんはすごく険しい表情です。出発10分前というのもあり、”早くチケットカウンターに行って、荷物用のチケットを買いなさい”と言われました。その日本語を話せる女性と共にチケットカウンターまで走り、なんとか買うことができました。買う時に滞在先の住所なども求められましたがすぐにはアレックスさん家の住所もわからず、代わりにその女性の住所を使う始末。シベリア鉄道での輪行容易ではありませんでした。荷物用に別に900ルーブルを支払いました。急いで戻ると早く電車に乗り込むよう言われ、自転車も車掌さんがどこかに持っていきました。今もなおどこに自転車があるのか、無事なのか…。モスクワで無事会えることを願います。

 

最後慌ただしくなってしまいましたが自転車も共に一応無事にシベリア鉄道に乗り込めた2日目でした。

すでに午前1時です。乗車がばたばたしたこともあり、少し落ち着いてからこの日はもう就寝しました。

 

ではシベリア鉄道内7泊8日の生活はまた次回。

 

歳の数だけ東欧・南欧諸国1万キロ自転車旅第1走:第1カ国目ロシアに入りました。

お久しぶりです、癖っ毛です。

すみません、勝手にもうロシアにいます。準備編もしっかり更新できればよかったのですが。書き始めると止まらないタイプで、文字のチェック等もしていると2.3時間経っていて意外と体力を使います…。飛行機の前日にキャンプ用にガソリン燃料入れやコンロを買うなど準備もばたばたでブログはさぼっておりました。

 

今回は基本的にツイッターで、余裕があるときにブログは更新していこうと思います。どんなに遅くなってもブログも毎日分更新していこうと思います。あとで思い出すように書いて内容が薄くなり、小学生の感想文みたいにならないよう何かあったり感じた際にメモするようにノートを持ってきて書いています。それを基に、ツイッターの文字数では納まらない細かい話やちょっとした話をブログでは書いていこうと思います。

 

それでは10月11日(水)のお話。

前の夜は準備でばたばた。自転車の分解とダンボールへの梱包は事前空港配送でしたので9日には済んでいましたが、服やらなにやらこれは持っていこうかいや使わないかななどぐだぐだして時間が過ぎて行きました。朝はばたばたするのは嫌で、貴重品が入ったバッグ以外は全てラッピングする予定でした。少しでもお金を浮かすため、空港でのラッピングサービスは利用せず自分でサランラップで巻きます。その作業もあったので早く巻かないと、とやっと持っていく荷物を決めてラッピングをして寝ることができました。

 

ここ最近はずっと興奮して眠れていませんでした。寝不足のためか、久々に顔にニキビがぽつぽつ。でもさすがにばたばたな準備がやっと終わり、落ち着ちつけてぐっすり寝てしまいました。そういえば準備が終わり、ほっと一息ついて夕食を食べている時妙に鈴虫の音が耳に付きました。大冒険が始まる前夜、嵐の前の静けさという感じでした。母親のピーマンの肉詰めに食後に柿と梨が出てきた。日常は大冒険が始まるのを知らぬようにいつも通り流れていました。

 

いつも修学旅行とか去年のインドネシアもそう、朝ばたばたします。大体終わりが見えると朝でいいや、となって放置して朝を迎える。そんなばたばたな様子を見て、当の本人は落ち着いているのに、母親が苛立ってくる。

ただ今回は当日着る服含め全て準備は終えていたので落ち着いた朝を迎えられました。しみったれたのは嫌なので、じゃあという感じで駅まで車で送ってもらって母親と故郷とお別れしました。案外お金盗まれたり、自転車壊れたりして来週けろっと帰ってくるかもわかりませんからね。笑

 

ただここからの電車での成田空港への移動が大変でございました。自分の最寄駅は始発駅なのでとりあえず東京までは大丈夫でした。隅っこに場所を確保して荷物を置いて。あとで写真に載せますがラッピングした荷物が大きめのキャリーケースサイズでして結構場所をとります。重さも20キロ弱あるので軽くはない。キャリーケースと違って、持ち手やキャスターがある訳ではない。

問題は東京からでした。まず山の手線までの乗り換え、いつもの乗り換えですがそのラッピング荷物のために少し歩いては止まって持ち替えて、また歩いて休憩しての繰り返し。

周りは通勤や通学の方ばかり、ビジネスバッグ1つでスマートに足早に歩く人達に横目で見られる。ロシアの気温を考えて、下はユニクロの防風暖パンツに上は長袖シャツ。重い荷物を運んでるのもあって、額から汗が滝のよう。年頃的に汗とか暑苦しいの嫌いそうな都会の高校生からは心なしか冷たい視線を感じないでもない。心も体もだいぶ削られました。

 

欧州を自転車で走るなんて夢のような話。やっぱりそう簡単にはいい思いさせてくれないか、なんて神様は手厳しいなあなんて考えながらせっせと運んでおりました。

 

そしてここで山の手線からのダブルパンチ。どうやら遅延でホームは大混雑…。押すなと怒られたり、邪魔だと言わんばかりの視線…。1本乗り過ごして次のでなんとか乗れました。乗ったのはいいけどもちろん車内も満員で。いやあ、本当に申し訳ない。でも飛行機は乗り慣れていないし通勤通学で大混雑だけどこの時間で行かないと不安で。前のおばさんは前からは満員電車で人に押され、自分の荷物が足にかかり”押さないでー、立てないー”って車内で叫ぶ始末。目を瞑って、日暮里までだからあと少し頑張って!本当ごめんなさい!と心の中で叫んでいました。

 

ここまで人様に迷惑かけておいて、ただ楽しんで帰ってくるわけにはいきませんね。なにか吸収して、こうやってブログやツイッターで共有したり社会に還元するように活かさないと。勝手に身を引き締めていました、癖っ毛です。

 

日暮里からは京成線で成田までは1本です。車内も混雑しておらず助かりました。成田空港の駅に着けば、改札通る前から荷物のカートもあって大変有難かったです。

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13時のフライトですが無事9時半に空港入りできました。そんなに早く?と言いましても去年のインドネシアでの年末年始のひとり旅で空港に3時間前に入るもターミナルを間違えていて気づいた頃には間に合わず乗れなかったんですね。LCCの格安チケットもただの紙切れに、現地でツアーのような形で山岳ガイドも待ち合わせもありました。LCCでは次の日の便しかない。当日行くとなると国営ガルーダ航空ビジネスクラスしか…2万円少々泣く泣く払って搭乗なんてことがあったんです。初めての飛行機ひとり旅は苦い思い出です。

 

まあ成田空港のターミナルは数も少ないしわかりやすいです、何より日本語ですし。ただ念のため搭乗手続きをするカウンターや自転車の空港受取の場所、大型預け荷物の検査場など空港内のスタッフさんと自分の目で全て確認しました。搭乗手続きも11時くらいからとのことなのでそれからはロビーでのんびりしてました。

 

いやあ、空港って夢ありますね。アムステルダム行きやフランスにアメリカ。仕事で疲れた様子の人もいますけど、留学だったり家族や恋人との旅行だったりみんなの目が輝いてる。それぞれが夢や楽しみが詰まってる素敵な空間ですね。これは確かにYouは何しに日本へとかひとつ番組作れるのもわかる。

なーんて暇過ぎてそんなことを考えておりました。

 

時間になったので自転車を受け取って搭乗手続きを。嬉しい誤算でエコノミーでも23kgが2つまで無料で預け荷物とすることができました。自分が事前に見ていたのはアエロフロート航空のホームページでした。オーロラ航空のコードシェア便なのでオーロラ航空の規約を用いて23kgが2つまで大丈夫ということなんでしょうか。なにはともあれよかった。

ただ30kgやサイズが260cmを超えるものは事前に連絡をとありました。それは超えていないですが言うて大きいです。カウンターのお姉さんが”これは大きいね、プロペラ機でスペースも限られている。これを一番始めに積まないと”と急ぎ足で一緒に大型手荷物の検査場まで行きました。とりあえず大丈夫そうでした、海外を自転車で走りたいなんて考えてなんかすみません。ここで自転車とはお別れです。

無事にウラジオストクの空港で会えるのか。飛行機輪行の記事でダンボールが凄まじく破壊されてたり、中の自転車が破損っていう話もあります。カウンターでは免責のサインを書くよう言われました。自転車が壊れて出てきたら、バックパーカーに変身しよう。もしそうなったら今回はバックパック持ってきてないので買うところから始めないと。

 

そんなことを考えながら搭乗しました。とりあえずインドネシアのようにはならずよかったです。あとは機内で面白かったのは、ロシアの方は性や恋愛に対してオープンのようです。機長の方が恐らく成田空港からウラジオストクまでの距離かなにかを言った際最後二桁が”69”という数字でした。機長のあとに”シックスティー・ナイン”と皆が繰り返して大きな声で笑っていました。前に座ってる2名はロシア人カップルさん。日本でもキスしたりいちゃつく人はいるにはいるけど、普通に音を立ててくる。生々しい音にやられて、1人気まずくなってなんとなく窓から外を眺める癖っ毛でした。

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そして時差あるからよくわからないけど恐らく2時間程揺られて無事にウラジオストク空港に着きました。静かに旅が始まりを告げました。パスポートコントロールも一人一人時間がかかってるみたいで緊張しましたが通り抜け、荷物も受け取りました。雨で少しダンボールは濡れていましまが見た感じ自転車は大丈夫そうです。

 

この日はウォームシャワーというアプリを使い、空港から遠くないザヴォツコイの町のアレックスさん家に泊まらせていただきます。とても親切な方で車で空港まで迎えに来てくれました。自転車大きいけど大丈夫かと尋ねたら、プリウスだから平気さと自信満々。アレックスさんと娘さんが出迎えてくれました。自転車もすっぽり入りました。本当に助かります。

ナンバープレートなし、シートベルトはせずでアラームが鳴り響くワイルドなアレックスさんの運転。途中娘さんは体操の練習のため降りて、スーパーで飲みものとアイスも買っていただきお家に着きました。

 

部屋も大きくて、テレビもある。BBCやらNHKも繋がりました。ベッドはふかふか。

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少ししたらお腹は空いてるか、と聞かれたのではいと答えて軽食をいただきました。ロシアにおける主食はパンなのかなあなんて思いながらいただきました。真ん中のガーリックトマトは最高でした。途中ハチミツは好きかと聞かれたので答えると机の下でがさごそ。出てきたのは巨大な容器に入ったハチミツ。34kgもあります。いくら蜂蜜好きでも日本にはなかなかこのサイズで保存している人はいないんじゃなかろうか。聞いてみるとこれは一般的で、調べたら厳冬期があるこの地域では栄養価も高く貴重な保存食として重宝されているようです。

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ご飯を食べ終えると、どこを走るんだいとアレックスさん。お互い拙い英語で、癖っ毛はロシア語話せないしなかなか伝わらずでいるとちょっと待っててと世界地図を持ってきました。旅の予定なによりその地図が個人的に面白かった。ドイツはまだ東西に別れていました。現在の東欧などユーラシア大陸のほとんどをソビエトが支配していました。サンクトペテルブルクは旧名。そしてこの地図では千島列島はソビエト(ロシア)の領とされていました。アレックスさんは千島列島を指差しながら、ここは日本の領土だよねなんて苦笑していました。

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出版年が気になったので本の最初や最後やらをぺらぺらしてめくってみました。それらしき80-82という数字を見つけました。恐らくこの本は1980年前後に出発されたもののようです。

 

そんな話をしているうちに娘さんを迎えに行く時間になったので同伴しました。しばらく隅っこでその様子を拝見して帰路に着きました。ここでわかったのですが今晩の寝床はアレックスさんの実家のようです。普段はまた別のアパートに住んでいますがスペースがなく、お母さんのご厚意で実家の一部を提供してくれているみたいでした。

 

家に戻ってからはまだSIMはないですがWiFiを利用させてくれてそれでロシアの観光情報やら次のウォームシャワーのホストさん探しをして23時くらいには就寝しました。

 

なんとか無事にロシアに入ることができました。果たしてシベリア鉄道に乗る2日目はどうなったのか。

 

初日だけでも書き始めたら5000字になりました。とりあえずシベリア鉄道車内は暇ではあるのでまたひと息ついて2日目の更新もしたいと思います。

 

長過ぎて皆さん途中で折れてますかね、ここまでお読みいただいた皆さんありがとうございました。

ではでは、失礼します。

 

 

欧州自転車旅準備編その2:人生初決済、シベリア鉄道ウラジオストク発モスクワ行。

 

やっと少しずつ準備が進んでおります。

遂に自転車も購入しました!渡航日も決まりました!

 

まずは自転車の購入。

やっと今回の旅の新たなお供が決まりました。アメリカのメーカーMARINさんのFour Corners。また写真は納車して手元に来たら載せようと思います。

1週間ずっとだらだら悩んでおりましたが、一昨日遂に契約に行って参りました。アドベンチャーロードというジャンルで同じアメリカメーカーのJAMISとこのMARINがこの分野では有名どころなようです。色々なジャンルやメーカーがあるものです、もっと勉強しなければいけない。ロードタイプと同じドロップハンドルでまたクロモリのため長期的なライドでも疲れにくく乗りやすいとのこと。40Cまでの太さ対応しているので、太めでダートなどの荒れた路面やウィンタータイヤで雪路面も可能で大変心強い旅のお供でございます。

ただ色合いは好みではないですがそんな事は言っていられません。なにが起こるかわからない海外自転車旅にはスペック重視です。色合い的には近所の個人経営バイクショップのおじさんに薦められたTREKさんの520 Discが格好良かったです。全身黒でシュッとしてクールで綾野剛さんのような格好良さがありました。性能面に加え価格や支払い方法などの都合でも今回は、Four Cornersを選択するに至りました。

内定式が終わり関西から帰って来週5日にご対面の予定で今から楽しみです。

 

そしてもう1つ大きなイベントとしては、

行きの航空券とシベリア鉄道の切符の購入です。

 

この海外旅に向けて癖っ毛22歳にしてこの6月に初めてクレジットカードを作りました。

学校で受験が必須であったTOEFLなどはクレジットカード決済しか取り扱いがなく、その際は親からカードを借りて決済していました。

インドネシアでは派遣元が現地銀行の口座開設等をしてくれてその銀行のキャッシュカードだけで大丈夫でした。そのため特に作ることなく過ごしてきました。

今回はそうもいかないので遂につくることに。

そして初めて使う出番が来たのであります。

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シベリア鉄道ウラジオストク発モスクワ行。

これが癖っ毛の初めてのクレジット決済となりました。いやあ、一生忘れることはないでしょう。キリル文字に頭を悩ませて、心臓をバクバクさせて押した決済ボタン。

最初はエラーが出てしまい、表示もロシア語ですからなにがエラーなのかもわからない。もう一度最初の画面からやり直し、なんとか決済できたようです。

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続いて11日成田発ウラジオストク行きのチケットも購入しました。航空券の購入も一筋縄ではなくて、預け手荷物が気になるのでアエロフロートに電話するもカタコトの日本語で思うように伝わらず諦めてしまいました。恐らくチケットの購入で日にちとか時間とかは定型文は大丈夫なのでしょう。自転車があるため超過サイズとか量に関して確認したかったのですが。まあホームページにはあるのでそれを頼りにします。JALとも悩みましがホームページ通り行けば預け荷物の超過分を支払ってもアエロフロートの方が安いのでそちらに決めました。恐らくどちらもオーロラ航空やS7航空だったりシェアコード便でJALの方が自転車の扱い良いかなとか考えたりもしましたがあまり関係なさそうですし。

と色々ありましたが本当にやっと日にちが決まり、気持ちが高まって来ました。

 

ただただまだ立ちはだかるいくつもの壁。シベリアの地を踏むまでにふた山もさん山もありそうです。

 

まず1つは自転車の事前空港配送でした。友人が空港で働いてることで知っていたABCさんに問い合わせをしたら、以前はできていたみたいですが今は不可能とのこと。そこですぐに頭に浮かんだ物流会社ヤマト運輸さんへ。引っ越し等での自転車配送は可能だが自転車の空港への配送サービスは行っていない、と。

暗雲が立ち込めてきました。自転車を購入していい気になってる場合ではありませんでした。てってきりABCさんでできるものだと。

 

それ以降は、空港 配送 自転車 で調べて出てきたところに問い合わせていきました。空港ゆうパックなるものを見つけ聞いてみるも撃沈。自転車専門配送なんかを提供しているところもございます。ただ国内でのレースや大会でイベント会場や宿泊先への配送のみで空港へは不可能。電話で無理と言われる度に折れそうになる心。

そして同様に佐川急便さんに行き当たりました。ホームページを見ると空港への配送サービス自体はやっている模様。問題は自転車が可能かどうか。160cmを超えるものは電話で直接お問い合わせください、とあった。今は便利なものでスーツケースなんかはWEBのみで出荷配送手続きできてしまう。

癖っ毛の飛行機利用は去年のインドネシアと小学校低学年のとき家族旅行で行った八丈島と一昨年の沖縄旅行の3回のみです。いずれもこのような事前配送は利用しなかったので無知でございました。いちいち営業所へ行かずともWEBで手続きをして自宅に引き取りに来てくれる、便利ですね。

ただ大型手荷物は電話をとのことなので早速。そしたら佐川急便は委託されているだけのため、QLライナーへお問い合わせください、と。どうせ無理なのだろうとQLライナーさんに問い合わせたところ、可能とのこと。自転車でダンボール梱包そして203cmで大型になるが本当に可能なんですか、と何回か確認してしまいました。いやあ、よかったよかった。一安心です。なんとか新しいお供とシベリアの地へ行けそうです。

 

やはりここが壊れた、責任を取れだのクレームが大変で自転車配送はリスクが大きいのであまり皆さん手を引いたり、やりたがらないのでしょうか。この電話でも故障などがあっても責任は取れないことを再度確認させられました。あの大きさと重さですから電車でも車でも車が小さかったり人を見つけたり難しそうなので、破損は覚悟でお願いすることにしました。

 

そして次の問題はSIMフリースマホです。

海外で地図やあと宿探しにWarm Showerという自転車旅人限定の無料宿泊サービスを利用する予定でインターネットの利用ができないと厳しいことになります。海外はバス中だったりよく整備されているとは言うものの癖っ毛が行く地域も地域でWiFiがどこでもある訳ではないでしょう。そこで現地のキャリアをプリペイドなりで利用したいところです。

新しいSIMフリースマホを買うのか、今使っているauのiPhone 6sをロック解除して使うか。

今日とりあえずビックカメラに行ってみました。まあ安くはないですよね、安くても2万円前後はします。あと気になったのが画面左の対応周波数とやら。

とりあえずSIMフリーを買えばどこでも現地でSIMを買って利用できるものだと思っていましたがそうではないみたい。

お店の方にヨーロッパの方へ行く旨を伝え対応しているスマホを尋ねましたが、行く範囲も広く難しいと。行く国のキャリアを調べて逐一周波数を調べた方が確実とのこと。ただ行く国の数もそうですが、情報がただでさえ薄い地域もありその上こんなニッチな情報。一度出直してスタバに入り健闘しましたが、うーんなんともといったところ。

 

ではとりあえずiPhoneはどうだろうと、auショップへ行ってみました。なんとも断定を避けたいようで納得のいく答えはなかなか。基本的にアップルストアで購入した元々SIMフリーiPhoneであれば恐らく元々の規格上対応できるとは思いますが、auのものでロックを解除したからと言っても全てアクティベートできるとも言い難いようで。ここら辺の分野は全く弱いので詳しいことはお伝えできませんが、でもWEB上であれば無料でロック解除できるのでデメリットもないですしとりあえず解除しようと思います。

日本でSIMフリーを新しく購入して、現地で使えないでは困るので、まずiPhoneをフリーにして向こうでトライしてみようと思います。どうしても必要な場合は帰国後日本で使えないリスクもありますが現地での購入も視野に入れます。

日本では4GやLTEが主ですが欧州では2Gが主である地域もあり、日本のフリースマホでは周波数をキャッチできないなんてこともお店の方が仰っておりました。なんだか全く未知で、不思議な世界です。まあ日本で売られているのはまず日本対応のフリースマホですから海外で使えないリスクも多少なりともあり、安くはない買い物なので今回は様子を見ます。

 

このiPhoneが使えればいいなあ、、、。

 

でもなんかこの旅準備にしろ、やっぱり旅は面白いですね。ポケモンとかRPGのゲームをやっているようです。1つ1つアイテムを集めたりして、どんどん進んでたまに手強い敵が現れたりなんかする。まだまだフル回転までとは言わずとも頭を悩ませて、ひとつひとつ解決していく感じがゲームみたいで面白いですね。もうすっかりゲームとは縁がないですが、高校生の時は電子辞書のケースを使いDSを仕込んで授業中にポケモンやらモンスターハンターをしていた程にはゲームっ子でした。久々のこの感じ、いいですねえ。1つ解決したらまた次の課題が出てくる。

 

まずiPhoneSIMロックを解除してそうしたら次の敵が現れますかね。さあ、かかってこい。

 

こんな慌ただしくしている間に明日から関西に内定式関係で3日間拘束です。同期会うの緊張するとかどんな人たちかな、なんて考える暇もなく迎えそうです。

 

そういえば内定先から事前課題も出ていたっけな。会社での夢・目標と自分の強み・弱みだったかな、行きの新幹線と前泊のホテルでのんびり考えることにしようかなあ。

 

ではではお読み頂きありがとうございました。失礼いたします。